Googleは7月17日、都内でビジネスリーダー向けイベント「Atmosphere Tokyo 2013」を開催した。同イベントに先立ち、米Google エンタープライズ部門 担当社長のアミット・シング氏が、Googleエンタープライズの日本における活動状況について説明を行った。

Googleのエンタープライズソリューションには「Connect」、「Visualize」、「Build」、「Find」、「Access」からなる5つのテーマが存在する。

「Connect」と「Access」では、「社員があらゆる時、あらゆる場所で共同作業を行うことができるようなソリューションを提供する」といい、GmailやGoogleドキュメントによって、どこでもメールを確認し、オフィスファイルの編集作業が可能になったことを強調。加えて、Googleハングアウトによって、ビデオカンファレンスが容易になったと語る。

米Google エンタープライズ部門 担当社長
アミット・シング氏

Googleが持つエンタープライズソリューションには5つのテーマがある

更に、「Visualize」では、データを可視化することによって、業務効率化が果たせるとアピール。例えば、Google Mapsを活用することで、社用車の現在位置を把握したり、各店舗の在庫把握、店舗の混雑状況などをビジュアルで確認することができるという。

実際に、フィリピンの携帯電話事業者である「グローブテレコム」は、Google Mapsを利用してトラフィックのヒートマップを作成。混雑しているエリアの監視をリアルタイムで行っている。

一方、「Find」では、Google検索アプライアンスを利用することで、社内の情報管理も容易になるという。ネット検索でトップブランドであり続けるGoogleの検索技術を利用することで、「レストランをGoogle検索によって調べるように、社内の情報も簡単に発見することが可能だ」とシング氏は力説した。

Google Appsは大企業だけではなく中小企業にも適している

シング氏は、5つのテーマから一旦離れ、Google Appsが多くの企業に採用されていることを紹介した。海外ではFortune 500に選ばれた企業の58%がGoogle Appsを利用しているといい、国内でも富士フイルム、クボタ、クラリオン、カシオ、ソフトバンクなどの企業が同ソリューションを活用している。

また、ANAもGoogle Appsを導入し、3万3000人の社員がモバイルデバイスを通して同ソリューションを利用。「世界各地に散らばる社員が共同で行う作業」の業務効率が改善されたという。

富士フイルム、クボタ、クラリオンなどが
Google Appsを採用

ANAもGoogle Appsを採用
日本最大規模のユーザー数だという

一方で、シング氏は「Google Appsは決して大企業に特化したソリューションではない」と話す。「SMB(中小企業)は、レガシーのシステムを持たないため、簡単に新たなテクノロジーへと移行できる」といい、世界で500万社を超えるSMBがGoogle Appsを利用している実績を紹介した。

国内での採用例では、従業員数20名の「シージェイシステム」が、Google Appsを活用して顧客情報を管理しており、FAXなどもクラウドに転送することで、「いつ、どんな場所でも情報を確認できる環境」を構築したという。

世界500万社のSMBがGoogle Appsを活用

Google App Engineでサーバーを持たずにアプリ運用

Googleでは、データセンターとネットワークインフラストラクチャーに対して多大な投資を行ってきた。「この投資を世界中の人々が享受できるようにしたのがGoogle Appsであり、Google App Engine」(シング氏)だという。

「これらのクラウドプラットフォームは、新規のアプリケーションを開発する上で大きな変化をもたらす」と話すシング氏は、5つのテーマで一つ残されていた「Build」について語る。

「iTunesでトップ3に入るスマートフォンゲームを開発している『Applibot』というスタートアップ企業がある。この企業は、サーバーやネットワークを持たず、全てGoogle App Engineでまかなっている」(シング氏)。

続けて「サーバーやネットワークにリソースを割くことなく、新しいアプリを開発することに集中できる環境が重要だ」と述べ、それらの企業に対して「Googleのハイパフォーマンスのサービス、インフラを活用してほしい」とした。

Gameなど、あらゆる場面で
Googleのクラウドサービスが利用されている

Googleグループは法人向け製品を利用すれば心配いらず

質疑応答では、官公庁などがGoogleグループ機能を利用したログがネット上で公開されていた問題に関連して「中小企業がGoogle Appsを活用するにあたって不安に感じているのでは」との質問があった。

これに対しシング氏は、「私はコンシューマー製品の担当ではないが、その問題は聞いている。Googleグループで一般公開されたのは、コンシューマー向け製品を利用したためであり、エンタープライズ向け製品では、管理者が細かくプライバシー設定を行うことができる。その点は安心してもらいたい」と回答した。