7月11日、D2Cはモバイル広告・マーケティングセミナー「D2C SESSION 2013」を開催。その一環として「第12回モバイル広告大賞」の贈賞式が開催された。

モバイル広告大賞は2002年から続く、モバイル分野を専門にした広告に関するアワードだ。スマートフォンやフィーチャーフォンなど通話とインターネットの両機能を備えたデジタルデバイスをターゲットとしたキャンペーンやマーケティング・コミュニケーションの事例、規定のモバイル広告枠上に掲載された広告やキャンペーン用のサイト・アプリなどが対象となる。

D2C 代表取締役社長 宝珠山卓志氏

贈賞式の冒頭、D2Cの代表取締役社長である宝珠山卓志氏が登壇し、D2Cが実施したマルチデバイス利用動向調査の結果を交えながら「スマートフォンやタブレットにおいて日本は最先端ではないと言う人がいるが、私は全く違うと思う。今日紹介する事例は世界でも最先端の事例であり、フィーチャーフォン時代のノウハウを受け継いでブラッシュアップしたものだと思っている。学ぶというより感じていただき、つかんでいただきたい。それができればこの領域で日本は世界最先端でいつづけられると思う」と語った。

マーケティング部門で9社が受賞

モバイル広告大賞はマーケティング部門とクリエーティブ部門が設けられている。各部門ごとに複数のカテゴリが設けられており、各カテゴリに「グッド」と「ベスト」の2つの受賞作が設定される。また、全体を通した優秀作品に「グランプリ」が授与される。

マーケティング部門はキャンペーンや販促事例、商品・サービスの価値向上、新たなビジネスモデルの送出といったマーケティング事例について、モバイルの友好的な活用方やインパクト、成果等をマーケティング視点で評価する。成果が顕著であることを評価する「イフェクティブネス」、商品やサービスのブランディングに寄与したものを評価する「ブランディング」、新たなビジネスモデル、チャネルやインフラの創出などを実現した作品を評価する「イノベーション」、キャンペーン企画設計や企画のインパクトと斬新性を評価する「キャンペーン」の4カテゴリが設けられている。

「グッドイフェクティブネス」を受賞したのは、ジーユーの「GUのオンラインメディア活用による集客施策」だ。ARや音声認識技術を盛り込んだクーポン配布やキャンペーンを展開。最大95%のクーポン利用率を達成している。

ジーユー「GUのオンラインメディア活用による集客施策」

「ベストイフェクティブネス」は、日本コカ・コーラの「Ahare a Coke and Song」が受賞した。ペットボトルに年号とコード番号をプリントしたラベルを巻いて販売。購入者はラベルの年号当時に流行した音楽が聴けるという広告だ。購入者は繰り返し音楽が聴け、Facebook等で友人と共有もできる。共有された側は短時間の視聴のみができ、気に入った場合にはその年号のボトルを探して購入するという行動が期待できる。3カ月のキャンペーン中のべ123万人が参加したという。

日本コカ・コーラ「Ahare a Coke and Song」

「グッドブランディング」は2社が受賞。サントリー酒類の「STONES BAR ベロカメラ」はキャラクターとして採用したThe Rolling Stonesのイメージアイコンにならって、ベロを出した顔を認識すると撮影されるカメラアプリで、ブランドコンセプトである「解放される時間を応援するお酒」のイメージを訴求した。

サントリー酒類「STONES BAR ベロカメラ」

もう1社は、良品計画の「MUJI HOME MADE」が受賞。手作りお菓子の家キット「ヘクセンハウス」を100体使って有楽町店にお菓子の街のジオラマを設置。SNSと連動させた店舗への来店促進を行った結果、有楽町店での「ヘクセンハウス」の売上が前年比328%となったという。

良品計画「MUJI HOME MADE」

「ベストブランディング」はKDDIの「驚きを常識に。FULL CONTROL YOUR CITY」が受賞した。Webとスマートフォンアプリ、リアルイベント、テレビCMを連携させたキャンペーンで、スマートフォンの未来を感じさせた。ライブの演出がスマートフォンの操作に合わせて変化する仕掛けや、テレビCMに使ったセットを使って未来的な動きを体験できるブースを設置したことなどが特に話題になった。

KDDI「驚きを常識に。FULL CONTROL YOUR CITY」

「グッドイノベーション」はロッテの「ACUO CMも息から変えよう。」が受賞。CM動画をPCで再生しながらスマートフォンに話しかけることでアテレコし、CM動画と合成したものをYoutubeに公開するという取り組みだ。

ロッテ「ACUO CMも息から変えよう。」

「ベストイノベーション」はドミノ・ピザ ジャパンの「世界最短のタイムセール」が受賞した。Facebookアプリでタイムカウンターの0.1秒までのゾロ目を揃えると50%オフのクーポンがもらえるというゲームに多くの人がチャレンジ。Facebookのファン数は150%増し、クーポン獲得率は9.6%と、少ないクーポンで大きな効果をあげたことが評価された。

ドミノ・ピザ ジャパン「世界最短のタイムセール」

「グッドキャンペーン」ソニーマーケティングの「Headphone Music Festival」だ。スマートフォンで音楽を聴く人に向けて、独自技術を盛り込んだバーチャルライブ体験を提供。スマートフォン付属のイヤフォンではなく、音楽再生に優れたヘッドフォンをアピールした広告が評価された。

ソニーマーケティング「Headphone Music Festival」

「ベストキャンペーン」は日産自動車が、スマートフォンに向かって叫ぶだけで車が操作できるゲームで「VOICE DRIVER」を使ったキャンペーンで受賞。インターネット上で開催された予選には世界各国からユーザーが参加。日産グローバル本社ギャラリーで決勝ラウンドを開催した結果、日産ギャラリー来場者数は160%増となったという。

日産自動車「VOICE DRIVER」