Windows 8.1に加わった変化は、目に見える部分はもちろん、目に見えないシステム内部まで範囲を広げますと、枚挙に暇がありません。そこで順次Windows 8.1に加わった特徴的な新機能を一つずつ紹介しましょう。今回はファイル操作に欠かせないエクスプローラーと、Webブラウジングの中心的存在であるInternet Explorer 11です。

SkyDriveとの融合を強化したエクスプローラー

Windows 8.1におけるファイル操作は、モダンUI(ユーザーインターフェース)のファイルピッカー(File Picker)とエクスプローラーを利用するため、基本的な操作内容は同じです。しかし、そこにはいくつかの改良が施されていることをご存じでしょうか。

例えば「メール」を使い、電子メールにファイルを添付する際に利用するファイルピッカーは、矢印ボタンをクリック/タップしますと、よく使うフォルダーやWindowsストアアプリが並んでいました。しかし、Windows 8.1プレビューの「メール」では、SkyDrive/PC/ネットワークと三つのカテゴリーに絞り込まれました。また、各項目を示すアイコンも加わっています(図01~02)。

図01 Windows 8の「メール」におけるファイルピッカーでは、主なフォルダーやWindowsストアアプリがリストアップされます

図02 Windows 8.1では、SkyDrive/PC/ネットワークに絞り込まれました。ドライブやフォルダーの移動はタイル上で実行します

ここで注目したいのが、SkyDriveをローカルストレージやLAN上の共有フォルダーと同列に扱っている点です。同項目をクリック/タップしますと、「メール」からWindowsストアアプリとしての「SkyDrive」を内部的に呼び出すのは以前と変わりませんが、オンラインストレージの利用を強く勧めるMicrosoftの意図が感じる方も少なくないでしょう。

もっともWindows 8.1プレビューの時点では、各種設定が徹底されていません。「モダンUIとPC設定編」で紹介した「PC設定」の「SkyDrive」→「ファイル」には、「ドキュメントを既定でSkyDriveに保存する」という項目があり、初期状態で選択される保存先としてSkyDrive上が選択されるように読み取れます。

しかし、同項目のスイッチをオンにした状態で、Windowsストアアプリからファイル保存を試しても、ピクチャフォルダーなどが現れるだけでSkyDriveが選択されません。デスクトップアプリ側に影響を及ぼすのかと思い試してみましたが、こちらの結果も同じ。現時点では、同項目のオン/オフによる変化は確認できませんでした(図03~05)。

図03 「PC設定」を起動し、「SkyDrive」→「ファイル」とクリック/タップで開きます。続いて「ドキュメントを既定でSkyDriveに保存する」をクリック/タップで「オン」に切り替えました

図04 この状態でWindowsストアアプリからファイル保存を試しても、SkyDrive上のフォルダーは選択されませんでした

図05 デスクトップアプリ側で試しても、通常のドキュメントフォルダーが選択されました

筆者の読み違いかもしれませんが、Windowsストアアプリ側で特定のAPI(Application Programming Interface:簡潔にプログラムを記述するためのインターフェース)の対応が必要なのかもしれません。

さて、もう一つのファイル操作ツールであるエクスプローラーですが、目を引くのが左ペインにあるナビゲーションウィンドウの内容でしょう。Windows 8.1プレビュー公開前の噂では、「コンピューター」から「This PC」に改称すると言われていましたが、フタを開けてみると日本語版Windows 8.1プレビューでは「PC」という名称が使われました(英語版Windows 8.1プレビューは噂どおり「This PC」という名称を用いています)。

また、それまであった「ライブラリ」が見当たりません。その代わりにドライブをなどを表示するメインウィンドウに変化が加わっています。グループ表示時に「フォルダー」というカテゴリーが用意され、主なフォルダーが表示されるようになりました。もっとも「ライブラリ」は削除されたわけではなく、ナビゲーションウィンドウのコンテキストメニューにある<ライブラリの表示>にチェックを入れれば、再び表示させることが可能です(図06~07)。

図06 Windows 8.1プレビューのエクスプローラー。ナビゲーションウィンドウだけでなく、新たなカテゴリーとして「フォルダー」が加わりました

図07 ナビゲーションウィンドウを何もないところを右クリック/長押しし、メニューの<ライブラリの表示>をクリック/タップすることで、同ウィンドウに「ライブラリ」を表示できます

なお、タスクバー上のボタンをクリック/タップした時の動作も変化しました。従来はライブラリがアクティブな状態でエクスプローラーが起動しましたが、Windows 8.1プレビューの場合は「PC」がアクティブな状態で起動します。

Windows 8.1におけるエクスプローラーの変化でもっとも顕著なのが、ナビゲーションウィンドウに加わった「SkyDrive」でしょう。Windows 8以前はデスクトップアプリ版SkyDriveアプリをインストールすることで、ローカルストレージとオンラインストレージの同期を行っていました。

しかし、Windows 8.1プレビューのインストールプロセスにSkyDriveの設定が組み込まれたことで(概要・インストール編を参照してください)、オンラインストレージをエクスプローラー経由で自然に利用できるようになります。実体は「%USERPROFILE%\SkyDrive」フォルダーであることに変わりはありませんが、タイミングによっては同フォルダーを開いた時点で同期チェックが行われるなど、開発途中版であることを感じる場面もありました(図08)。

図08 ナビゲーションウィンドウの「SkyDrive」をクリック/タップすることで、ローカルフォルダーにキャッシュしたファイルやフォルダーが表示されます

フォルダーオプションダイアログを徒然(つれづれ)と眺めていますと、これまでの<検索>タブにあった<部分一致の検索を行う>という項目が見当たりません。そもそも同項目は、入力語句を前方一致か部分一致で検索するかを設定するものでしたが、Windows 8.1はエクスプローラーによる検索を重要視せず、モダンUIベースでの検索を前提としているため加わった変更でしょう(図09)。

図09 フォルダーオプションダイアログの<検索>タブから、<部分一致の検索をする>が取り除かれました

確かにタッチ操作環境では、エクスプローラーの検索ボックスをタップしてキーワードを入力するといった操作は、使い勝手がよいとは言えません。デスクトップを中心に利用しようとするユーザーにとってはデメリットとなりかねないでしょう。なお、リボンやコンテキストメニューなどに目立った変化は発見できませんでした。