自動車制御システムなどのモデルベース開発(MBD)推進活動を行っているJMAAB(Japan MBD Automotive Advisory Board)は7月4日、都内でモデルベース開発をどのように活用するのかなどの紹介を行うカンファレンス「JMAAB OEPEN CONFERENCE 2013」を開催した。

MathWorks Japanの梨沢利隆 社長

同カンファレンスには事前に510名が登録しており、当日、会場は大勢の人でにぎわった。開催に先立ち、JMAABの事務局代表として登壇したMathWorks Japanの梨沢利隆 社長は、3月に公益社団法人 計測自動制御学会(The Society of Instrument and Control Engineers:SICE)の制御部門の2013年パイオニア技術賞を受賞したことを報告。JMAABの取り組みが広く社会に認められたことを強調し、支援している事務局としても喜ばしいことで、今後も日本の産業界に対して地道な支援を継続していきたいとした。

日立オートモティブシステムズ システム開発技術部の山中久光氏

また、同カンファレンスは2年に1回開催されており、今回で6回目の開催となり、前回からの2年間の間に起こったアップデートの説明が、日立オートモティブシステムズ システム開発技術部の山中久光氏より行われた。

JMAABでは、その目的の実践のためにワーキンググループ(WG)を編成し、参加各社がそれぞれ行いたいことをテーマとして提案し、活動を行い、その成果を公開している。会員は2013年5月時点で、ボードメンバーが6社6名、コアメンバーが23社(カーメーカー11社、サプライヤ12社)、一般メンバーが589社2720名で、一般メンバーに登録している職種は自動車分野だけでなく、電機メーカーやツールベンダー、産業機器、航空関連メーカーなど幅広く、参加者の人数も年々右肩上がりで増加しているという。

JMAABのメンバー概要

そうした参加人数の増加に伴い、成果が不明で難しい課題に対する挑戦を行うワークショップ(WS)やWGの数が増えてきており、WSを行い、そこである程度方針などをまとめたうえでWGに落とし込むという流れができつつあるとするほか、最近のテーマとしては、ISO26262への適合に配慮したMBDデータ管理の検討やモデル品質の定義・定量化の検討、モデル流通というMBDビジネスモデルの多様化に配慮したモデルファイル権限管理の要求などが取り上げられるようになってきたとのことで、そうしたWGなどの成果物の多くがJMAABの公式Webサイトからメンバーでなくても入手することが可能となっている。

JMAABのWG、WSなどの概要と、その数の推移

モデルベースの定義はソフトウェアベンダなどと製造業の間では隔たりがあるが、平成23年度の情報処理推進機構の報告書では、情報系ではMDD(Model Driven Development)、組込系ではMBDをあげるようになった。実際の自動車の開発を考えた場合、各社で開発プロセスが異なるものの、おおまかにはJIS X 0160をベースにVプロセスをカバーする形で、上流ではMILS(Model in the loop Simulation)やRCP(Rapid Control Prototyping)が用いられており、そこからテストデータやコードなどの生成がなされ、下流でそれらをもとにHILS(Hardware in the loop Simulation)を用いて検証するといった形でMBDが適用されている。

自動車業界のMBDプロセス例

また、ISO26262ではモデルベース開発を考慮したものであるため、検証手法として事項可能なモデルでのシミュレーションなどが推奨されており、そうした対応もJMAABで対応を図っていきたいとしたほか、そうした社会情勢の変化を受けて、JMAABでは現行、主に7つののWGの活動を行っており、モデル品質の定量化の検討や制御モデリングのガイドラインの改訂、車両全体モデル構築時の課題検討、Simulink Stateflowのトレーニングなどの話し合いが行われているとのことで、今後はMBDビジネスモデルまで含める形をイメージした活動を進めて行くとした。

現在進行形のWGの概要