はやぶさ2は、2014年に打ち上げ予定の小惑星探査機です。この探査機にのせて宇宙を旅するあなたのメッセージを募集しています。応募すればもれなく搭載され、もちろん無料という太っ腹企画。誰でも簡単にエントリーできますよ~既報ではありますが、どこでもサイエンスなりにご紹介しちゃいます。

さあ、いつ応募するの? 今でしょ!(やってしまった…)。

はやぶさといえば、2010年、日本が世界で初めて!!小惑星の往復旅行を成功させた探査機ですね。そして往復旅行の成果として、小惑星の物質(岩石のカケラ)を着陸して採集し、地球まで帰還させ、回収に成功したのは、記憶に新しいところです。

一方で、往復をした母船は大気圏突入でバラバラになり火の玉になって蒸発してしまいました。それがまたなんとも涙…でした。うんうん…え? 知らん? その辺はですねえ。4本も作られた映画とか、何冊出版されたか数えるのも大変なくらい豊富な本とかでぜひチェックをしていただきたくであります。子供向けのものもおすすめ。きっちり取材されています。ちなみに大阪の出版社である啓林館から出ている中学校の理科の教科書にも載っていますので、特に関西の方で子供が中学生という方はチェックしてみてください

さて、このはやぶさは、これで完結したプロジェクトじゃなくて、テスト機だったのをご存じでしょうか? 実際はやぶさのコードネームは、MUSES-C。MUSESは、Mu Space Engineering Spacecraft(ミュー・ロケット)で打ち上げる工学実験探査機なのです。工学実験つまり、技術的にやれるかどうかのテスト、ということですね。

なぜ、テストなのかというと、小惑星へ探査機を往復するなんて「曲芸」は、できないと思われていたからです。航行距離だけでも、月の往復100万kmに対して、60億kmです。6000倍ですよね。家の近所までしかいったことない子供に、北海道までお使いにいかせるようなものですね。時間も7年間です。もちろん無補給。日本がもつ技術としては、地球上空からカプセルを投げ落としてみたとか、火星に片道飛行の探査機を飛ばしてみたとか(結果、火星の周回軌道に投入できず)。そんな経験があるだけだったのですね。それを、過去の失敗や成功の経験や技術を組み合わせ、新たな開発も加えての挑戦に成功したというわけなのです。できるからやったのではなく、できるかどうかを試したのですねー。

で、実験ができたら、本番なわけです。それが、はやぶさ2というわけです。実験でうまくいった技術は発展継承させ、うまくいかなかった部分は改良をし、また、さらなる実験要素を追加しての旅立ちとなります。ただ、これ、なかなか理解されなくて「はやぶさうまくいったからいいじゃん。じゃ、終わり、で次は別の事業ね」と、宇宙開発の現場ですらなりかかって、紆余曲折あって、寄付など国民の応援もあって、ようやくGOがでたのです。

そんなはやぶさ2が、はやぶさから継承できたことの1つが、一般人の荷物(メッセージ)を無料で探査機に搭載して宇宙を飛ばす「星の王子さまに会いにいきませんかミリオンキャンペーン2」です。

メッセージというのは、宇宙探査の成功には直接何の関係もありません。また、燃費命の宇宙探査機は1gでも軽く作ることになっていますから余計な荷物だともいえます。でも、バランスのために搭載するバラストの詰め物にするといった工夫をすることで、これを可能にしたんですね。もちろん手間はかかりますから、簡単な話ではなく、探査機を送り出すのを応援してくる人々への感謝と一緒に参加してほしいという気持ちの表れなんですね~。

ところで、この宇宙探査機にメッセージを搭載するというのは、1972年に木星、そして太陽系外縁探査のために打ち上げられたアメリカのパイオニア10号にさかのぼります。著名な惑星科学者でジャーナリストとしてもピューリッツァー賞を受賞したカール・セーガン博士らの発案で、宇宙人へのメッセージとしてプレートが積まれました

1977年のボイジャー1号には、レコード盤に音声や画像が入れられて搭載されましたし、その後、宇宙探査機に一般市民のメッセージを載せることも行われています。

日本では1998年に、日本初の惑星探査機の火星探査機のぞみを打ち上げる際に、名前を載せますという呼びかけが行われました。当時はまだネットが発達していませんので、ハガキでの応募をよびかけたところ、予想をはるかに超える27万人分の名前が集まったそうです。応募は、名前だけだったのですが、ハガキの欄外には様々なメッセージが書かれていたそうです。名前部分だけをハサミで切り取り整理しながら、担当者は喜びと感動で感涙していたとのことです。これは、担当された宇宙科学研究所・対外協力室長の的川泰宣室長のエッセイに活写されています

そして、前回の2003年のはやぶさでのメッセージ募集につながるわけです。これには、2011年に解散した日本惑星協会が一役買っています。この協会は上述の的川室長も参画していた団体で、米国の惑星協会の日本版というものです。この米国惑星協会は、映画監督のスティーブン・スピルバーグなども参画する世界最大の宇宙同好会(会員10万人です)発起メンバーには、パイオニア号のプレートやボイジャー号のレコードにかかわったカール・セーガン博士がいます。そのカール・セーガン主演の国際共同制作のテレビ番組「コスモス」の日本のプロデューサーの高岸敏雄(朝日放送)さんが日本惑星協会の事務局で、はやぶさのメッセージ募集の旗をふったというわけです。高岸さんとカール・セーガン博士については、KU-MA 子ども・宇宙・未来の会のコチラに説明があります。

うわー、ちょっと寄り道が長くなっちゃいました。宇宙に自分を届けたい。そんな思いを、大勢の人が受け継ぎ、今回のプロジェクトがあります。商業ベースのPRとは一味もふた味も違う、人間味あふれる、宇宙愛に満ちたプロジェクトなんですね。

ということで、ぜひぜひご参加ください。締切までまだ時間はありますが、やはり、参加するなら「今でしょ!」

はやぶさ2のミッションイメージ (c)JAXA/池下章裕氏