13億人の巨大マーケットを持つ中国。ビジネスシーンにおける中国語のニーズはますます高まっている。「いまこそ中国語を」と考えているビジネスパーソンは多いようだが、英語とは違いゼロレベルからのスタート。何からどう「攻略」すべきなのか。中国語学習システムを開発・販売するWEICの内山雄輝社長に、中国語学習の極意と同社のe-ラーニング教材『超速中国語PLUS』について語ってもらった。

株式会社WEICの内山雄輝社長

――中国語をこれから学ぼうというとき、日本人が参考としたくなるのはこれまでの英語学習経験ですが、英語と中国語では学習方法は違うのでしょうか。
まったく別のものだと考えてください。英語と同じ勉強方法では中国語はまずモノになりません。中国語と英語では「スタート地点」がまったく違うからです。英語の場合は中学校から勉強しているわけですから、すでに基礎力はあるのです。社会人あるいは大学生であれば、英語でわからないことがあれば自分で調べられるし、自力で勉強を進めるだけの力も備わっているはずです。

私はよく語学レベルをピラミッドで説明するのですが、社会人が英語を勉強するという場合、ピラミッド(図参照)の点線くらいのレベルからのスタートになります。初級といっても実際は中級レベルから勉強しているイメージです。土台はもうできているわけだから、コミュニケーションのトレーニングとか、単語を蓄積していくトレーニングから始めても、会話能力を高めることができるのです。

中国語学習者の「ピラミッド」

一方の中国語といえば、大部分の人がゼロレベルからのスタート。しかも、日本人になじみのない声調(音の上げ下げ)で意味を弁別する言語です。だからまず、コミュニケーションの練習を始められるレベルにまで持っていくことが大事です。そこをどれだけ短期間ですませられるかが重要になってくるのです。ゼロレベルの段階でコミュニケーションをはじめてもダメ。会話の練習は、ある程度までレベルを上げてからでないと意味がないため、いきなり中国語スクールに通いだすのは、学習を短期間で効率的に進める上であまり得策とは言えません。同じ「初期学習者」といっても、英語と中国語では開始するレベルがまったく違うわけですから。「英語は会話の練習で上達したから、中国語も会話の練習から始めよう」というのは大きな間違いなのです。

――言語としても中国語と英語には大きな違いがあるように思いますが……。
はい。そこはよく理解しておくべきです。英語の単語は音節を入れ替えることで意味が変わってくる。日本語もそうです。音節が入れ替わり音になることによって、例えば「たわし」が「わたし」となることで、意味が変わりますね。ところが中国語は声調によって意味が変わる。一つの音節に対して四つの音の高低(四声)をマスターすることがまずとても重要になります。

――御社で開発した中国語の学習教材でも、その「段階」をかなり意識されいていますよね。
もちろんです。この「入り」は大切なポイントですからね。というのも、中国語の音のイメージができていない初学者が発話しようとすると、中国語の音をカタカナに置き換えて発話しようとするんですね。でもそれでは大抵の場合通じない。中国語のような声調言語は英語を学ぶのとはまったく話が違います。

お母さん? それとも馬? たった1音の違い

例えばアメリカの人が「たわし」のことを「タワーシ」と英語風に発音したとしても、私たちはたわしのことを言っているのだな、ってわかりますよね。でも中国語だとそうはならない。例えば、お母さんと言おうとして、「ma」を一声で発音するとお母さん「妈」の意味になるのですが、もし間違えてmaを三声で発音してしまったら馬「马」の意味になってしまいます。お母さんのことを「馬」と呼んでしまうことになります。カタカナで書くと両方とも同じ「マー」という発音ですが、その声調を間違えると「わたし」と「たわし」ほど意味が変わってしまうんですね。カタカナで中国語を覚えるほとんどの方が、この声調が苦手で発話してもほとんどが通じない。せっかく勉強しても通じなければ語学学習の面白さや意欲がぐっと落ちて挫折してしまいますよね。……続きを読む