富士通研究所は6月18日、スマートフォンやタブレットなどのデバイスにPC向けの業務画面をそのまま高速に表示でき、モバイル通信環境(3G/WiMAX/LTE)でもスムーズな操作を実現できる、「高速シンクライアントゲートウェイ技術」を発表した。

新たに開発されたゲートウェイ技術は、Webシステム上に構築された業務アプリケーション向けに一般的に用いられているHTTP プロトコルや、デスクトップPCのリモートデスクトップに用いられているRDPを使って画面データを取得し、ユーザーごとの認証・セッション管理機構と連携して、効率的な画面データ送信が可能なRVECプロトコルへとリアルタイムに変換し、スマート端末へ送信するもの。

高速シンクライアントゲートウェイ技術の概要

従来、PC向けに作られた業務画面をスマートデバイスで正しく表示するには、画面の変換が必要だった。一方、画面データをそのままスマートデバイスへ転送するシンクライアントシステムでは、サーバのインストールやシステムの導入が必要だった。いずれの場合も、モバイル通信環境で利用する際には、パケットロスが頻繁に発生するため、操作性が悪化するという問題があった。

富士通研究所では、既存の業務システムと容易に接続でき、かつ画面データの転送量を従来の1/10に削減可能なゲートウェイ技術を開発した。この技術を適用したゲートウェイを導入するだけで、PC向けに構築された業務システムに変更を加えることなく、スマートデバイスから業務アプリケーションを利用できるようになる。

新技術の特徴

同社によれば、BYOD(Bring Your Own Device)の活用を含む多様なスマートデバイスで、社内のPC向けに構築された業務アプリケーション(営業・顧客支援など)を利用したり、社内のPC向けeラーニング用動画コンテンツをスムーズに閲覧したりできるようになるという。

新技術の利用イメージ

富士通研究所では、この新技術を応用し、富士通のネットワークサービス・プロダクトとして製品化を目指すという。まず2013年夏より順次、富士通ネットワークソリューションズの「FUJITSU Thin Client Solution モバらくだ for スマートデバイス」への適用を予定しているとのことだ。