台湾SerCommの日本法人であるサーコム・ジャパンは6月11日、IT通信・サービス事業者向けOEM/ODM製品オペレーション支援サービス「Sercomm Smart Solutions(SSS)」を発表した。

同サービスは、同社の強みである、すでに海外で出荷実績のあるHEMSやM2M市場向けネットワーク機器の国内企業に向けたOEM/ODM提供だけではなく、OEM/ODM提供製品の受入検査、保管、デリバリサービスをサーコムおよび同社のパートナー企業である加賀電子系のマイクロソリューションが一括して請け負うというもの。

サーコムの代表取締役社長である伊藤信久氏

サーコムの代表取締役社長である伊藤信久氏は、OED/ODMベンダである同社がハードウェアではなくサービスを提供することについて、「通常、台湾のODM/OEM製品は値段は安いが、サポートなどは手薄なことが多い。我々としては、そこを手厚くすることで、付加価値として提供することを決定した」とする。

また、同社が対象とする国内企業は現在、IT通信・サービス事業者が主だが、そうした企業はさまざまな中国・台湾企業の製品を活用してサービスを市場に提供している。その多くが、良い製品をいかに安く手に入れるかという点に対して注力はしているものの、海外からのデリバリや不具合対応など、OEM製品特有のオペレーションコストがかなりのものになってしまうという課題もあったとする。

SSSを提供するに至った背景。ちなみに、同サービスはSerComm全体で提供しているものではなく、あくまでサーコム・ジャパン独自のサービスになるという

特にHEMSなどの新興市場においては、ソリューション全体のコストをいかに抑えるかが普及の鍵となることから、「製品コストを下げることはもちろんだが、物流などのオペレーションコストを下げることも重要となってくる。しかし、多くの場合、製品単価の中に不具合交換費用(RMA:Return Merchandise Authorization)なども含まれており、それが単価を押し上げる要因となっている。RMAを製品と別個に分けることで、製品単価を下げることが可能になるほか、国内検査を我々が実施することで、不具合率の低減や、検査部門の簡素化による事業の運営コストそのものの低減が可能になる」とするほか、物流倉庫を山形県米沢市に持つことで、「関東に倉庫を保有するよりも、保管費用を安くすることができ、かつ国内最大の商圏である関東にも柔軟に商品配送が可能だ」と、SSSのメリットを説明する。

SSSのサービスイメージ。同社のスタッフによるコンサルティングによる物流課題の解決や製品の受け入れ検査、保管、配送などを一貫して提供する

また、実際のサービスインは7月1日からを予定しているものの、すでにアーリーアダプタによる試験的な運用も始まっているとのことで、そうしたノウハウから、実際の効果シミュレーションを弾き出したところ、企業が抱える問題の解決に向けたコンサルティングから検査、試験(受け入れ検査と通電LED検査)、保管、配達を一貫して行う形で、1万円の通信機器を30日間保管した場合、オペレーションコストで240円/台の削減効果を得られるほか、エンドユーザーでの不良率を2%から0.2%に引き下げること、不良による信用損失の1/10への低減が可能であるという結果を得たとする。

アーリーアダプタで得た経験をもとに試算したコスト削減の例。単純にデリバリ費用や保管コストの削減のほか、製品に付与されていた400円/台が不要になるというメリットも生まれるほか、受け入れ検査による不良率の低減による目に見えないメリットの創出なども果たせ、なおかつ1台あたり240円のコスト削減効果(通信機器1万台、30日保管の場合)を出すことが可能になったとする

さらに、「物流を考えた場合、我々をセカンドソースとして活用することで、BCPの実現にもつながる」としており、対象となる企業には、サーコムの製品でなくてもサービスを提供するとしている。

なお、同社では7月1日からのサービスインを1st Phaseとして、受け入れ検査、倉庫保管、デリバリを提供するほか、オプションとしてファームウェア/ソフトウェアの更新、キッティングも用意。2014年1月頃をめどに2nd Phaseとして、ヘルプデスクやリモートサポートの提供を考えており、サービス提供から1年間で1億円の売り上げを目指すとしている。