山口市および公益財団法人山口市文化振興財団は、山口情報芸術センター[YCAM]10周年記念祭のアーティスティック・ディレクターを務める坂本龍一とYCAM InterLabによるインスタレーション+Webコンテンツ「Forest Symphony」を発表する。開催期間は7月26日~12月1日(火曜休館)、開場時間は10:00~19:00。会場は山口情報芸術センター[YCAM] ホワイエ。入場無料。

サウンドインスタレーションの展示イメージ。天井から吊るされた多数の多面体スピーカーから各地域の樹木から生成したサウンドが流れる

このたび発表される「Forest Symphony」は、森林保全団体「moreTrees」を設立するなど、以前から森林保全活動を行ってきた坂本が、東日本大震災以降、その関心を芸術表現へと昇華させるべく構想したプロジェクト。樹木の内部を流れる微弱な生体電位をもとに、作曲を試みるというものだ。すでに世界各地の森林で展開され、樹木や森林そのものによる音楽という新たな領野を切り開きつつある。

そして今回、同プロジェクトにYCAM付属のメディアアートを専門とした研究開発チーム「YCAM InterLab」が参画し、オリジナルのセンサーデバイスを開発。それを用いて、新たなサウンドインスタレーションおよびWebコンテンツとして制作されることになった。国内外から集められた樹木のデータにもとづいて生成されたサウンドとともに、アーティスト・高谷史郎のディレクションのもと、生体電位の変化やセンサーデバイスが設置された環境の情報が視覚的に表現され、季節や天候に応じて変化を続ける森のような空間が作り出されるという。

樹木に生体電位を取得するセンサーを取り付ける様子(宮崎県諸塚村)

同展のために開発されたセンサーデバイスは、オープンソースハードウェアとして公開予定

なお、今回のためにYCAM InterLabが開発したセンサーデバイスはオープンソース化されており、図面や作り方などの情報が同展の公式Webサイトで無償公開される予定になっている。また、7月26日には「Forest Symphony」を用いた坂本龍一によるパフォーマンスや上野耕路、テイラー・デュプリー、ILLUHAらのセッションが繰り広げられる「THE OPENING LIVE CONCERT」(19:00開演)が行われる。詳細はYCAM10周年記念祭のWebページを参照してほしい。

なお、2013年11月に開館10周年を迎える山口情報芸術センター[YCAM]は、展示スペースや劇場、図書館を併設する複合文化施設。コンピューターや通信技術などを使ったメディアテクノロジーを共有プラットフォームとして、最先端のメディアアート作品の展示、演劇やダンスパフォーマンスの公演、映画上映、サウンドイベント、ワークショップやレクチャーなどを開催している。