肝臓のアルコール代謝に対する黒大豆ポリフェノールの作用

フジッコは25日、黒大豆の健康効果に関する研究成果について、愛知県名古屋市で開催された「第67回日本栄養・食糧学会大会」において発表した。

黒大豆ポリフェノールの肝臓におけるアルコール代謝促進作用について報告

多くの漢方書には、黒大豆は「解毒」「養血平肝」「酒食諸毒を癒やす」などの薬効を有するものとして記されており、それらは黒大豆の種皮に含まれるポリフェノールの肝機能改善作用によると考えられるという。

同社では、黒大豆ポリフェノールの生理作用の研究を行い、これまでにアルコールの長期摂取に対する肝機能保護作用について報告している。今回の発表では、動物及びヒトへの投与試験により、黒大豆ポリフェノールの肝臓におけるアルコール代謝促進作用について報告した。

アルコール(エタノール)は、肝臓においてアルコール脱水素酵素(ADH)の働きによって酸化され、アセトアルデヒドに変換される。さらにアセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きによって酢酸に変換され、無毒化される。

アセトアルデヒドは非常に有毒な物質であるため、血中濃度が高まると、皮膚紅潮や悪酔いを生じさせ、さらには頭痛、吐気などのいわゆる二日酔いの症状を引き起こす原因となる。同研究では、黒大豆ポリフェノールの摂取が、肝臓におけるアルコール代謝に与える影響を調べることを目的として試験を行った。

黒大豆ポリフェノールが、ラットのアルコール代謝を促進

動物試験ではラットを使用。黒大豆ポリフェノールを摂取させた群では、アルコール投与後30分で、血しょう中のエタノール、アセトアルデヒドともに、対照群と比較して、濃度の上昇が有意に抑えられ、その後も低値を維持した。特にアセトアルデヒドについては、黒大豆ポリフェノール単独でも血しょう中の濃度の上昇が抑えられたが、オルニチンとの併用によりさらに大きな抑制作用が認められた。

血しょう中アセトアルデヒド濃度上昇を有意に抑制

黒大豆ポリフェノール投与群では、アルコール投与から10時間後における肝臓中のADH、ALDHの活性が対照群と比較して、ともに有意に高い値を示し、特にALDHについては2倍以上の活性を示した。このことは、黒大豆ポリフェノールの摂取により、肝臓のエタノール及びアセトアルデヒド分解能が上昇していることを示す。

肝臓のエタノールおよびアセトアルデヒド分解能が上昇

黒大豆ポリフェノールの摂取効果は、ヒトでも有効

続いて、動物試験で確認された黒大豆ポリフェノールのアルコール代謝促進作用が、ヒトに対しても有効であるかどうかを調べた。血しょう中のエタノール濃度は、黒大豆ポリフェノールを摂取することによって、飲酒から60分後、120分後に、デキストリン摂取(対照)と比較して、有意な低値が確認された。

さらに、アセトアルデヒドは、飲酒から120分後では、デキストリン摂取の場合のように濃度が上昇せず、すみやかに血中から消失することが確認された。以上の結果より、黒大豆ポリフェノールを摂取することで、肝臓でのアルコール代謝、特にアセトアルデヒドの代謝が促進されることがヒトにおいても明らかとなった。

黒大豆ポリフェノールの摂取で、特にアセトアルデヒドの代謝が促進