香港に本拠を置くMPayMeの日本支社 MPayMe Japanは5月24日、QRコードを利用したモバイル決済ソリューションの発表イベントを都内で開催した。同イベントには、MPayMe CEO アレッサンドロ・ガドッティ氏らも登場した。

MPayMeは、znapソリューションを提供する企業。4月に日本支社 MPayMe Japanを設立し、年内にサービスインを予定している。初めはデパートなど大手20~30社と提携し、znapソリューションを提供予定。他国では、米国、英国や香港で既にサービスを開始しており、6月以降にはタイ、インドネシア、シンガポールなどのグローバル展開を進めるという。

znapは、スマートフォンやタブレット端末を利用して、販売者とユーザーの間で資金決済を行うソリューション。専用のアプリを使い、販売者の端末で金額などを入力したあとに端末に表示されるQRコードを、ユーザー側で読み込み、設定した4桁の暗証番号だけで決裁を行う非常に簡素な仕組みとなっている。決済方法は、クレジットカード、デビットカードで行われる。

利用には双方が端末にアプリをインストールしておく必要があるが、カードリーダーが不要な点や、クレジットカードや現金受け渡しがないため、手軽に利用できるメリットがある。また、販売履歴は既存のPOSシステムと連携することができるとしており、znapシステムで利用できる販売者用の管理画面で購入者の購買動向などを把握することもできる。

znapアプリでQRコードを読み込み決済

23日に日本上陸を発表したSquareや、PayPal Hereなどのクレジットカード決済ソリューションと比較すると専用リーダー端末が不要で始められる点がメリットとも言えるが、一方で利用者側から見ると、クレジットカードを持っていればよいSquareなどど比べて、普及しているとはいえスマートフォンなどの端末やアプリを用意しなければいけない点はデメリットともいえる。Squareとの比較でいうと、アプリを利用するSquare Walletに近いソリューションとなっている。

一方で、このソリューションは様々な展開が可能な点が期待される。たとえば、屋外のポスター広告などに製品のQRコードをプリントしておくことで、興味を持ったユーザーがスキャンするだけで購入画面へ飛ぶことが可能だ。他にも公共料金の月払い請求書にQRコードを貼ったり、WebサイトにおいてもQRコードから決済が可能となるため、ありとあらゆる場面で手軽なモバイル決済が実現できるとしている。

店内の店員が持っている端末に表示されたQRコードに
かざして決済といった利用方法も想定されている

znapでは、Webサイト決済で煩雑な個人情報の入力も、一度登録すればznapのサーバーに保存され、ワンタッチで入力が可能となる。このような情報を入力する場合にはセキュリティを危惧するユーザーも多いが、MpayMeでは国際セキュリティ基準であるPCI DSS Level1とISO27001に準拠しており、同社ではクレジットカード大手のMasterCard、Visaと同等のセキュリティ環境を構築しているとしている。

znapソリューションは単なるモバイル決済のソリューションではなく、「ワンツーワンマーケティングやクーポン、ポイントの提供も行う総合的なモバイルビジネスソリューション」(MpayMe CEO ガドッティ氏)としている。付加価値を持たせ、決済ソリューションで全てを包括的に取り扱うことができることが強みとしており、業種や業態を問わず同ソリューションを十分に活用できるという。

なお、戦略的業務提携を発表したビリングシステムが、日本における決済代行業務、収納代行業務、サービス拡大を目指す窓口業務を行う。また、日本を除くアジア太平洋地域では、ファーストデータが戦略的業務提携を発表している。

左からビリングシステム 江田 敏彦氏、MpayMe CEO アレッサンドロ・ガドッティ氏、MpayMe 日本CEO 酒匂 隆雄氏

MpayMe CEOのアレッサンドロ・ガドッティ氏は、「日本は重要な市場。ビリングシステムとの提携によって、大きくことが進んだ。日本だけでなく、世界で同時に展開していくことで、シームレスにユーザーがサービスを利用できることが大きなポイントだ」と話し、世界中で展開するビジョンを語った。

また、MasterCard、Visaなどのクレジットカード決済会社は競合ではなく、パートナーと語り、「彼らと手を組むことが出来たことは非常に幸運であり、このソリューションで世界の決済を変えていきたい」と述べた。更に、「世界で187兆円の決済が行われており、そのうち31兆円がB to Cで、7~8兆円が店頭での決済となる。しかし、我々は全てのB to Bも含めた全ての決済を取り扱っていくつもり」と抱負を述べた。

日本で収納代行業務を行うビリングシステム 代表取締役の江田 俊彦氏は、「シンプルで分かりやすいこの決済は市場に馴染むと思う。非常に安全なサービスで、全世界の様々な商品が、同じサービスを通して買うことが出来るようになっていく。期待して欲しい」とこのサービスの魅力を語った。