ライオンは、落としてもくり返し生えてくる浴室の黒カビの原因は、天井に潜む見えない「天井カビ」であること、ならびに筋電位測定の結果、天井を浴室用の柄付スポンジ(天井モップ)を使って5分間掃除する際、上部僧帽筋にはかかる負荷が、子どもをあやす時の"たかいたかい"170回分に相当することが判明したと発表した。

同成果は同社リビングケア研究所の渡部美香氏、山岸弘氏、長谷川貴通氏、田中孝祐氏らによるもの。詳細は、5月17日より昭和女子大学にて開催されたいた「日本家政学会 第65回大会」において、5月18日に報告された。

浴室のカビは見た目の汚さ、健康への影響に対する不安などから浴室における気になる汚れの1つとしてあげられるほか、落としてもすぐに生えてくることから、カビ取り掃除に生活者は強い負担感を感じている。すでに研究チームは、こうしたカビの原因が、カビがついているようには見えない天井付近で生育したカビ胞子であることを報告していたが、今回、さらなる生活者の浴室掃除の状況の調査を行ったところ、カビの汚染源となっている天井の掃除頻度は、2~3カ月に1回程度かそれ未満の割合が79%であり(半年に1回未満は64%)、ほとんど掃除されていないことが判明したという。

また、浴室掃除の負担軽減に向けた研究として、浴室のカビの汚染源である天井掃除における身体的負担の大きさに関する人間工学的な解析を試み、一般的な浴室の天井掃除として推奨されている"天井モップ"を使った掃除の際の両肩の上部僧帽筋の筋電位を、普段から風呂掃除をしている男性研究員3名および女性研究員3名を被験者とし、5分間掃除をした場合にかかる負荷として測定したところ、両肩の上部僧帽筋に対する負荷は、子ども(満1歳児の平均体重に相当する9kgの重りを頭上まで上下させる場合)をあやす時の"たかいたかい"を170回(男女6名の平均値。男性研究員3名の平均は86回、女性研究員3名の平均は253回)行った場合に相当することが分かったという。

なお、同社では今後も、浴室を清潔・快適に保つための製品開発および掃除情報の開発を進めていく方針としている。