エア・ウォーターは5月20日、パワー半導体やLED向け下地基板として、高品質なSiC基板を最大8インチまで生産できる技術を開発し、量産体制を整えたと発表した。

同社は、1980年代からガス応用技術の一環として、半導体結晶薄膜の製造装置(VCE:Vacuum Chemical Epitaxy)の技術開発、装置の製造販売を行っている。さらに、独自のガラスやプラスチックの表面処理技術(大気圧プラズマ技術)、金属の表面処理技術(NV:窒化処理技術)を有している。今回、3つの技術を融合させ、従来困難とされていたSi基板上への高品質SiCの成膜・量産化に成功したという。

SiC基板を大面積化することで、ユーザーのデバイス製造時の低コスト化に寄与できる。また、SiC基板は高周波デバイス用として期待されているGaNの成膜に適していると言われており、今回のSiC基板を用いることで高品質のGaN基板を比較的容易に得ることができるという。

対応サイズは、SiCが2~8インチ、GaNが2~6インチ。ただし、GaNは需要により8インチにも対応できる。最大生産能力は、6または8インチの場合、月産2000枚(年産2万4000枚)。2インチの場合、1万6000枚(年産19万2000枚)。

なお同社は2013年4月に、安曇野工場を完成させており、Siの上に成膜したSiC基板およびGaN基板を製造する薄膜単結晶製造工場として製造を開始しており、今回、大面積化、結晶の高品質化、低コスト化を同時に達成したことにより、パワー半導体やLEDの普及加速が期待できるようになるとコメントしている。