NHKは5月16日、単一周波数ネットワーク(SFN)によるスーパーハイビジョン(SHV:8K)の地上伝送実験に成功したと発表した。

詳細は、5月30日~6月2日に開催される「NHK技研公開2013」で紹介される。

SHV地上放送の実現に向けて、超多値OFDMと偏波MIMOを組み合わせた大容量地上伝送技術の研究開発が進められている。NHKは2012年5月に、世界で初となる地上波でのSHV野外伝送実験が成功しており、今回の成果は、それに新たに時空間符号化の手法を用いたSFNによるSHVの地上伝送実験に成功したものとなる。

現行の地上デジタル放送では、周波数を有効に利用するために、複数の送信局で同じチャネルを使用するSFN技術が使われている。このSFN技術では、2つの送信局から同一チャネルで同じ波形の信号を送信するため、それらの電波を同時に受信すると、互いに弱め合う周波数が生じ、受信品質が劣化するという課題があった。

今回、新たに開発したSFN技術では、時空間符号化を用いて送信所ごとに異なる波形の信号を生成し、各送信局から別々に送信する。受信側では、異なる信号を受信するため、電波が互いに弱め合うことなく、より安定して受信することが可能となった。

図1 SFN送信によるSHV 地上波伝送

図2 従来と新しいSFN技術の受信スペクトルの違い

図3 時空間符号化のしくみ