STMicroelectronicsは、圧電・磁性材料や3Dパッケージングなどの先端技術を用いる次世代MEMS製品のパイロットライン開発に向け、研究パートナーと協業を開始したと発表した。

今回の「Lab4MEMSプロジェクト」は、ナノエレクトロニクス分野における官民パートナーシップである「ENIAC JU(European Nanoelectronics Initiative Advisory Council Joint Undertaking)」によって開始されたもので、2800万ユーロ規模の投資により、30カ月にわたって実施される。この中で、STはヨーロッパ9カ国の大学・研究機関・テクノロジー企業と協力する。また、設計・製造からテストパッケージングに至る次世代製品の完全な製造技術を確立するため、フランス、イタリア、マルタにあるSTのMEMS製造設備を利用する。

STは、MEMS関連特許を800件以上保有し、30億個以上のMEMS製品を出荷してきた。現在、大規模な自社製造能力によって1日当たり400万個以上のMEMS製品を製造している。同プロジェクトでは、現在のSi MEMSを拡張することで、より大きな変位、高いセンシング機能、高エネルギー密度といった改良を可能にする、圧電薄膜などの技術開発を行う予定。これらの改良は、データストレージ、インクジェット、医療、自動車、産業制御、スマートビルといったアプリケーションや、スマートフォンやナビゲーション機器といったコンスーマ機器における将来の需要に対応するため、スマートセンサ、アクチュエータ、マイクロポンプ、エネルギーハーベスタの構築に必要とされている。

また、ボディエリアセンサならびに遠隔モニタなどのアプリケーションに向けた3D集積化デバイスを実現するフリップチップ、TSV、モールド貫通ビアを使用した先進的なパッケージング技術や垂直相互接続を開発する予定。量産対応可能な圧電デポジションプロセスを完成させ、複雑なMEMSプロセスに統合することで、SoC上の革新的なアクチュエータならびにセンサを実現することが主な目標の1つとなっている。

Lab4MEMSは、社会に重要な影響を与える技術およびアプリケーション分野の開発を目指すENIAC JUが契約したKey Enabling Technologies(KET)パイロットラインプロジェクトの1つ。NIAC JUは、ENIAC加盟国、欧州連合、AENEAS(Association for European Nanoelectronics Activities)を含む官民パートナーシップで、現在、各種研究開発プロジェクトに約18億ユーロを提供している。応募されたプロジェクト案は評価プロセスを通じて選考される。STが、コーディネートするLab4MEMSは、2012年に選出され、2013年1月から作業が開始されている。