ハイアール アクア セールスが2012年1月に事業を開始し、1年3カ月を経過した。ハイアール アクア セールスの中川喜之社長は、「とにかく走り続けた1年間だったが、まずは合格点といえる1年だったのではないか」と、初年度の取り組みを自己評価する。

三洋電機の洗濯機および冷蔵庫の開発、製造、販売を担当していた三洋アクアの株式を、中国ハイアールグループが取得し、新たなブランドとして「AQUA」による国内展開を開始。この1年をかけて量販店の店頭では、着実に存在感を増してきた。タレントの小泉今日子さんを起用したテレビCMやカタログも、同社の認知度を高めることにつながっている。中川社長に、ハイアール アクア セールスのこの1年の取り組みについて、そして2年目の抱負について聞いた。

ハイアール アクア セールス 中川喜之社長

―― 2012年1月から日本で事業を開始し、最初の1年間が経過しました。この間の実績をどう評価していますか?

中川氏 「私は、ハイアール アクア セールスがスタートした時点で3つの目標を掲げました。1つは、売上高350億円。2つめが、洗濯機および冷蔵庫市場におけるシェア10%の獲得。そして3つめがAQUAブランドの認知度を60%にまで高めたいという点です。ひとつひとつを検証してみますと、初年度の売上高は348億円。達成率は99.8%で、わずかに届かなかった。

市場シェアについては、洗濯機が9%台のシェアであり、これも『約10%』という言い方ができるところには達している。ハイアールジャパンセールスによる『ハイアール』ブランド商品をあわせたハイアールグループでは13%のシェアを獲得しています。また、冷蔵庫は約8%のシェア。ハイアールグループとしては12%のシェアとなっています。数値目標は掲げていませんでしたが、コインランドリー向け業務用洗濯機では29%というシェアを獲得しています。これもほぼ目標通りのところまでは到達していると判断できるのではないでしょうか。

2012年5月に発表したドラム式洗濯乾燥機の「AQW-DJ6000」

そして、3つめの認知度という点では、小泉今日子さんをイメージキャラクターに起用したことも大きな効果となり、テレビCM放映時には約5割の認知度にまで高まりました。特に、AQUAブランドの製品でターゲットとしている、メーカーにこだわらず良いものを購入したい『ハイセンスファミリー層』に対しては、63%という認知度にまで達した。多くの方々にAQUAというブランドを知っていただけたという思いはあります。

売上高やシェアについては、目標をわずかに下回っているわけですが、もともとの計画がかなり意欲的なものでした。それを踏まえれば初年度としては『合格点』だといってもいいのではないでしょうか。失敗は許されない初年度でしたから、個人的には、『出来過ぎ』だと思っている部分もありますよ。

実は、『出来過ぎ』と言葉を使うのには理由があります。ハイアール アクア セールスになってからは、当然のことながら三洋電機時代の冷蔵庫、洗濯機の販売契約をそのまま利用することはできません。全てを一から販売契約を結び直し、商品展示スペースももう一度、場所を確保するためのバイヤーと商談をしなくてはならなかった。まさに新規参入企業と同じだったのです。現在、約10社の量販店で、AQUAブランドの製品を取り扱っていただいていますが、これら量販店にAQUAを応援していただけたことが実績につながっています。ある量販店では、2012年1月の時点で、AQUAブランド商品を広告チラシに掲載してもらい、店頭でも『これは三洋電機の冷蔵庫や洗濯機が前身になっている』と説明してもらったり、それを説明したシールを掲示してもらえたりといった形で、積極的に取り扱っていただいた。こうした量販店の強力なバックアップによって、販売に弾みがついたといえます」

次ページ: この1年で大きな幹の部分は育ってきた