東京国立博物館と凸版印刷は、新たに製作したVR(バーチャルリアリティ)作品『三蔵法師の十一面観音』を、東京国立博物館・東洋館内の「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」にて初公開すると発表した。鑑賞には当日の予約が必要。料金は500円(高校生以上)。上演期間は2013年4月6日から6月30日まで。

VR作品『三蔵法師の十一面観音』

本VR作品では、三蔵法師玄奘(さんぞうほうしげんじょう)によってインドからもたらされた経典や仏像を基にして中国・唐で造られた「十一面観音菩薩立像」が、なぜ日本にあるのかという謎解きを行いながら、三蔵法師玄奘の17年に渡るインドへの旅が中国と日本の仏像様式に与えた影響などについて紹介する。

また、インドからシルクロードを経て中国に至り、日本にも伝わった仏像はどんな変容をとげたのかを、「十一面観音菩薩立像」を中心に、重要文化財「勢至菩薩立像(せいしぼさつりゅうぞう)」や重要文化財「如来三尊仏龕(にょらいさんぞんぶつがん)」など東京国立博物館の収蔵品と、奈良・法隆寺蔵の国宝「九面観音像(くめんかんのんぞう)」、奈良・薬師寺蔵の国宝「薬師三尊像」など、数多くの仏像も取り上げながら体系的に解説。「十一面観音菩薩立像」から始まった唐におけるインド様式の流行が、日本を代表する古寺に伝わる仏像にも影響を与えたことを明らかにするという。

ライティング・シミュレーションの様子

本作の製作にあたり、凸版印刷は東京国立博物館が所蔵する重要文化財「十一面観音菩薩立像(じゅういちめんかんのんぼさつりゅうぞう)」の高品位な3次元形状計測と高精細画像の撮影を実施。そのデジタルアーカイブデータを活用することで、「十一面観音菩薩立像」の顔立ちや表情など造形の細部まで見ることができる高精細なVR作品が実現したという。さらに、VRならではの自在なライティング・シミュレーションにより、朝日や夕日の輝き、燭台の光の揺らめきなど様々な光源に照らされた像を鑑賞することも可能となっている。

本作を上演する「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」は、VRによる文化財の新しい鑑賞方法を体験できる施設。東京国立博物館の収蔵品を中心とする文化財デジタルアーカイブをVR技術で可視化し、専属ナビゲーターによるライブ上演を行うことで、あたかもコンピュータが生成する三次元空間の中にいるかのような感覚で文化財を鑑賞できる。

作品概要

作品名 『三蔵法師の十一面観音』
上演期間 2013年4月6日~6月30日
料金 高校生以上:500円、中学生・小学生:300円、未就学児、障がい者及び介護者1名:無料