NECは3月22日、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスで通話中、画面操作により生じるタップ雑音を正確に検出し、抑圧する技術を開発したと発表した。同技術により、通話相手に聞こえる不快なタップ雑音を抑圧し、自由な画面操作と快適な通話を両立できるという。

近年、スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、Webサイトを閲覧しながらの通話、資料を編集しながらの電話会議、eラーニングなど、通話をしながらスマートデバイスの画面を操作する機会が増加している。しかし、指やタッチペンで画面を操作すると、接触により発生したタップ雑音をマイクが拾うため、通話相手が音声を聞き取りにくくなる。タップ雑音は話し手には聞こえない程度の音量だが、内蔵マイクには筐体を介して直接伝わるため、通話相手には大きな雑音として聞こえる。

今回開発した技術をAndroid搭載タブレット「LifeTouch L」に組み込んで評価したところ、演算能力が限られるスマートデバイスにおいても、処理に遅延なくタップ雑音だけを抑圧できることを確認したという。

具体的には、タップ雑音に固有の特徴を基に、正確な検出と抑圧を実現した。音に含まれるさまざまな周波数の波形の山がすべて揃うという、タップ雑音に固有の特徴を発見し検出に利用することで、タップ雑音の高精度検出を達成した。また、周波数ごとに波形の形状を分析し、音声らしくない周波数成分だけを抑圧することで、音声に影響を与えることなく、タップ雑音のみを抑圧した。これらにより、発生のたびに特性が異なるタップ雑音の消し残しを最小化している。

さらに、周囲雑音(環境雑音)の抑圧とタップ雑音の抑圧に共通する、入力信号を各周波数成分に分解・合成する処理を共通化したことにより、それぞれの処理を別々に行う方法と比較して、演算量を約3割削減し、演算能力が限られるスマートデバイスでも、処理に遅延なく動作することを可能にしたとしている。

なお、同技術はPCのキーボード打鍵音、ゲームコントローラのボタン操作音、自動車のウインカ―音など、タップ雑音と同様の特長を持つ衝撃雑音の抑圧にも有効だという。