リコーは3月14日、プロジェクターの投影画像の歪みを自動補正して投写できるiPad/iPhone向け無料アプリケーション「RICOH TAMAGO Pita Projection(リコー タマゴ ピタプロジェクション)」をiTunes StoreもしくはApp Storeにて公開したことを発表した。

プロジェクターを壁やスクリーンに投影する場合、場所や設置の仕方によって投影画像に歪みができることが多々ある。同社が販売している短焦点プロジェクターでも、距離を取る一般のプロジェクターと同じくそうした歪みが生じ、正しい四角形に映るようにセッティングするのに時間がかかるという問題があり、同アプリはそうしたセッティング時間の短縮などを目的に開発されたものだという。

独自の画像歪み補正技術を活用することで、プロジェクターで投影された歪みの基準(キャリブレーション)画像をiPad/iPhoneで撮影するだけで、どういった歪みであるかを識別し、その歪みを正しい画像位置に配置することが可能となる。プロジェクターの投影で良くある台形のみならず、波打った状態スクリーンなどに表示して生じている歪みなども補正することが可能だ。

「RICOH TAMAGO Pita Projection」の概要と、スクリーンに投影された画像の歪みの理由

ただし、かなり奥行きがある状態(例えば、壁の一部が出っ張っているような場合)を補正するのはまだできないが、将来的にはそういった状況でも対応できるようにアルゴリズムの改善を進めていきたいとするほか、背景色に応じた調整ができないため、白い壁やスクリーンに投影することが必要だが、こちらも背後の色を気にしないで投影可能な色補正技術なども盛り込んでいきたいとしている。

補正の手順。上段左ではiPadから投影したキャリブレーション画像を、iPadのカメラにて撮影。補正処理をiPad上にて行わせると、上段右のように歪みが解消された画像となる。下段は実際のプレゼンテーションを補正する前(左)と後(右)の比較。もし、角度をつけて実行してしまうと、iPad上では四角形に補正されるが、実際は斜めに角度が付いた状態で表示されたりしてしまうため、キャリブレーション画像の撮影は正面からが好ましい。ちなみに、補正はキャリブレーションを行ったiPadを経由して投影されるデータのみで、キャリブレーションを行っていないiPadやiPhoneでプレゼンデータを投影しても、歪んだままとなる

また、対応するプロジェクターは無線ネットワークでの接続は同社の無線ネットワーク対応プロジェクターに限られるが、有線でiPad/iPhoneより画像をプロジェクター経由で投影する場合、メーカーを問わずに活用することが可能だ。

なお同社では、今回はニーズの探索を目的としてTAMAGOシリーズとして提供を行っているが、これにより実際に同技術に可能性があると認められれば、将来的にはすでにTAMAGOシリーズから実商品化を果たしたペーパーレス会議ソリューション「RICOH Smart Presenter」との統合や自社プロジェクターにバンドルソフトとして提供したり、同機能を搭載したプロジェクターを販売したりといったことが考えられるとするほか、小型短焦点プロジェクターと組み合わせた「情報を手軽に表示する」といった新たなサービスを生み出すことにつながることが期待できると説明している。

RICOH TAMAGO Pita Projectionの紹介動画