5人のプロ将棋棋士が、コンピュータ将棋ソフトと団体戦で戦う第2回将棋電脳戦まで残すところ約10日となった。A級棋士である三浦弘行八段が大将として参戦することでも話題を呼んでいる電脳戦、今から楽しみにしている将棋ファンも多いことだろう。

そんな電脳戦開催を記念して、2月24日から3月10日までの毎週土日、原宿にあるニコニコ本社にてとあるイベントが開催された。

会場となったのは原宿のニコニコ本社

2階のスタジオでイベントが行われた

電脳戦で三浦八段と対局することが決定している将棋ソフト「GPS将棋」に、一般ユーザーが挑戦できるイベントである。なんと、一般ユーザーはGPS将棋に勝利すれば100万円の賞金が出るというからすごい。逆に言えばそれだけコンピュータが強いということでもあるのだが。

なんと勝てば100万円である。ちなみにこの時点ですでに3人が賞金を手にしていた

しかし、三浦八段と真向からぶつかれるほどの実力を持ったGPS将棋に一般ユーザーが立ち向かってもあっさり蹴散らされるのが関の山である。それでは面白くない。

ということで、少し力を弱めたGPS将棋が使われることになった。本番の電王戦では東京大学の駒場キャンパスにある670台のPCをフル稼働させてA級棋士の三浦弘行八段と戦う予定だが、今回は1台のPCのみを使用する。つまり単純計算でいけば電脳戦本番の670分の1の強さだ。これならいけるかも?

……そんなわけで全国から猛者が集結し、トライアルマッチの火蓋が切って落とされたのだ。

本稿では3月10日に開催された最終日の様子をレポートしていきたいと思う。ちなみに筆者は将棋のルールだけは知っているが、定石などは知らない超初心者である。技術的な解説はできないが、逆にそんな初心者が本イベントをどう楽しんだのかをお伝えしたい。

イベント開始時間の11時少し前に会場となるニコニコ本社2階ラウンジに到着すると、もうすでにたくさんのユーザーが詰めかけ、イベントのスタートを待ちわびていた。ニコニコ動画関連のイベントはこれまでにも数多く取材してきたが、そのどれとも違う独特の空気が漂っている。そういえば集まっている人々も、ニコニコ動画のいつものユーザーとは明らかに雰囲気が違う。大半が30代から50代くらいの男性であり、たまに20代の男性がいるくらい。女性の姿はほとんどなく、子どもはおじいさんと一緒にきている男の子が一人だけだった。

会場は最終的に立ち見が出るほど盛況に

コスプレしたユーザーがいるところがニコニコらしい。彼は自身のニコニコミュニティ「えびふらいのタルタルソース添え」で、プロ棋士の西尾明六段を招いて対局するというイベントを計画しているという

実は会場に集まっていたのは観客ではなく(観客でもあるのだが)、今回のイベントに参加するため全国から集った将棋の猛者たちなのだ。なるほど、それで普段のニコ動のイベントっぽくないのか。

担当者に話を聞くと、なんと挑戦者の多くは前日の夜中から並んでいたのだという。将棋は対局に時間がかかるので、このイベントも参加できる人数は先着で25名前後といったところだ。だとしても始発できたのではもう間に合わなかったというのだから、すごい気合いである。100万円がかかっているというのももちろんあるだろうが、それよりも世界最強のGPS将棋とニコ生という公の場で対戦できることに意義を感じているのだろう。

張り詰める空気にこちらの緊張感も勝手に高まる中、いよいよ電脳戦記念トライアルマッチの最終日がスタートした。……続きを読む