島津製作所は、リアルタイムPCR法に基づく遺伝子解析装置「遺伝子検出装置 GVP-9600」(研究用)を発表した。

リアルタイムPCR法はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりDNAの一部を増幅させ、その増幅物の発現量をリアルタイムに計測する手法で、正確かつ迅速な遺伝子解析ができるため大腸菌O157やノロウイルスなどの感染源を早期に特定する必要がある食品衛生分野や、がん治療で使用する分子標的薬のような、効果や副作用リスクを事前に判断して行うテーラーメード医療分野の遺伝子変異解析などで用いられている。

同製品は、最大4℃/秒の温調ブロック昇降温速度と、ペルチェ素子と多本ヒートパイプ散熱器の採用による安定したサーマルサイクリングによりPCR時間の短縮を実演。これにより例えば、同社のノロウイルスG1&G2検出試薬キットを用いた検出の場合、PCR開始から融解温度(Tm)解析まで3時間以内で行うことができ、ノロウイルスの有無を短時間で検査することが可能となる。また反応液量は5~100μlに対応するなど、汎用性が高い点も特長になっているという。

さらに、専用容器を必要とせず、市販の透明タイプのシングルチューブや8連チューブ、96ウェルプレートが使用できるため、ランニングコストの削減が可能なほか、光源に白色LEDを採用しているため、ランプの定期交換が不要となるため、維持管理コストの削減も可能となっている。

加えて、取得したデータに対して、絶対定量、相対定量(相対標準曲線法、比較Ct法)、SNPの各解析が可能であり、PCR増幅産物を確認する融解曲線解析にも対応している。ソフトウェアは日本語、中国語、英語に対応し、測定結果はデータベースとして管理でき検体ごとに自由なレイアウトで印刷することもできるようになっている。

なお、同製品の本体サイズは430mm×395mm×352mmで重量28kg。価格は380万円(税別。PC別)で、発売初年度で80台の販売を計画しているという。

島津製作所のリアルタイムPCR法に基づく遺伝子解析装置「遺伝子検出装置 GVP-9600」とPC