東京商工リサーチによると、カブトデコムは28日、臨時株主総会を開催し、会社解散を決議した。今後、特別清算を申請する予定という。負債総額は約5061億円(平成24年9月中間会計期間末時点)。北海道ではたくぎん保証の6108億円、たくぎん抵当証券の5391億円に次ぐ、歴代3番目。

東京商工リサーチによると、カブトデコムは、兜建設の商号で設立された建設工事業者。昭和63年9月に現商号のカブトデコムに変更した。旧・北海道拓殖銀行(以降、拓銀)のベンチャー企業に投資するインキュベーター路線の枠組みにより、同行の全面的な支援のもとホテル、マンションの建設や転売で急成長を遂げ平成1年3月には店頭市場に株式を公開した。

リゾート事業にも進出し、海外のリゾート会社を買収したほか、ホテルエイペックス洞爺(現:ザ・ウィンザーホテル洞爺)を建設するなど積極的な事業展開でピークとなった3年3月期には1009億円の売上高を計上していたという。

一方、東京商工リサーチによると、拓銀の支援を背景とする急成長により借入金の増大を招き、バブル景気が崩壊すると不動産市況が急速に縮小。拓銀による支援も打ち切られたことで、6年3月期には売上高は258億円にまで落ち込み、1434億円の当期損失を計上し債務超過に転落したという。以降、売上は後退を余儀なくされ、毎期多額の赤字を計上し債務超過額は拡大する中、9年11月、拓銀は経営破綻し同社との緊密な関係に終止符が打たれた。

14年に拓銀から債権を引き継いだ整理回収機構との間で、約4000億円の負債のうち51億9724万円に対して、22年9月を最終期日とする分割返済を行うとの合意がなされた。返済原資は米国子会社が所有する資産の運用益としていたが、20年のリーマン・ショックの影響を受け、子会社の経営も厳しさが増したことで合意した返済が滞っていた。

このため、今後の改善の見通しが立たないとして臨時株主総会により解散が決議された。