マウスコンピューターのゲーマー向けPCブランド・G-Tuneには、デスクトップ、ノートともに幅広い性能・価格帯の製品が用意されているが、その中で「NEXTGEAR-NOTE i770」シリーズは、ノート型の主流となっている15.6型サイズのゲーミングPCだ。GeForce GTX 670MXを搭載し、さまざまなゲームを快適に楽しめる性能を有しながら、コストパフォーマンスも上々。今回、SSD+HDDモデルの「NEXTGEAR-NOTE i770SA2」(販売価格129,990円)を試用することができたので、その細部と性能に迫ってみよう。

G-Tuneの15.6型ゲーミングノート「NEXTGEAR-NOTE i770SA2」

NTSC比95%の15.6型フルHD液晶搭載、構成の柔軟性も高い

「NEXTGEAR-NOTE i770」シリーズには、搭載するCPUやストレージの種類によって、いくつかのバリエーションモデルが用意されているが、全モデル共通でフルHD(1920×1080ドット)表示に対応した15.6型液晶ディスプレイを搭載している。

かつては1366×768ドット程度のモデルも多かった15型クラスのノートPCだが、現在新たに発売される製品では、今やフルHDがメインストリームになっており、解像度については本機のディスプレイも一般的な水準だ。しかし、今回の「NEXTGEAR-NOTE i770」シリーズから、NEXTGEAR-NOTEとしては初という広色域液晶パネルを採用しており、従来製品に用いられている液晶ディスプレイに比べ、より鮮やかな色の表現が可能になっている点は特筆に値する。

「NEXTGEAR-NOTE」シリーズ初、NTSC比95%をカバーする液晶パネルを搭載

具体的には、従来製品のディスプレイでは「sRGB」と呼ばれる色域をカバーすることをターゲットとしており、これはカラーテレビの標準であるNTSCで定義された色域の72%程度に相当するといわれる。それに対して本機のディスプレイは、NTSC比95%の色域をカバーできるパネルを採用しており、下の色度図でわかる通り、特に緑や赤において表現力が増している。

黒三角形が従来機「NEXTGEAR-NOTE i760」シリーズのディスプレイで表現可能な色域 新製品では色域が緑・赤の方向に大きく広がった

最近のスマートフォンでは彩度の高い有機ELディスプレイを搭載しているものも多いが、スマートフォンのカメラで赤い色の花を撮影したとき、その画面では実物の花のように鮮やかな色で表示されていたのに、PCに転送してから見ると、どことなくくすんだ印象になってしまう、ということがままある。このような現象は、PCのディスプレイの色表現能力が不足している際に発生することが多い。デスクトップPCであれば、あとでより高級なディスプレイに買い換えることも可能だが、ノートPCでは本体のディスプレイを使い続けることになるので、これから新しくノートPCを購入するのであれば、そのディスプレイがどれだけの範囲の色を表現できるのかも意識しておきたいところだ。

そして、「NEXTGEAR-NOTE i770」シリーズのもうひとつの大きな特徴が、SSDとHDDの同時搭載に対応していることだ。底面のカバーを開けてみると、中央手前側に2.5インチHDDがあるのに加え、メイン基板の端にmSATAタイプのSSDモジュールが接続されていることがわかる。従来mSATAのSSDモジュールは、32GB程度の小容量のものをHDDのキャッシュとして補助的に用いることが多かったが、本機では128GBまたは256GBのモジュールを選択できるので、mSATA SSDでありながらメインドライブとして十分活用することが可能だ。

中央下に2.5インチHDD、そして右端にmSATA SSDモジュールが確認できる

mSATA接続ということでインタフェースの性能を不安に思うパワーユーザーもいるかもしれないが、CrystalDiskMarkでアクセススピードを計測したところ、4KBランダムリードでも15MB/s以上と十分実用的なパフォーマンスが得られている。さらに、どうしてもストレージ性能にはこだわりたいというユーザーのために、2.5インチドライブもSSDに変更可能となっており、HDDの代わりにインテル520の120/240/480GB、Samsung 840の120/250/500GB、Samsung 840 Proの256/512GBが選択できる。

シーケンシャルリードで250MB/s以上、4KBランダムリードでも15MB/s以上の性能を発揮するmSATA SSD

このほか、標準構成では8GB(4GB×2枚)のメモリを搭載しているが、先の底面内部の画像をよく見るとわかるように、2枚分の増設用メモリスロットが空いており、ここに4GBまたは8GBのメモリモジュールを追加することができる。BTOオプションでは、ユーザーの手が届かない内部スロットを16GB(8GB×2枚)とし、さらに増設用スロットにも8GB×2枚を搭載した合計32GBの構成まで用意されている。

標準では8GBのメモリを搭載。BTOオプションでは最大で32GBまで対応する

4コア版Core i7+GeForce GTX 670MXの強力構成

今回試用したNEXTGEAR-NOTE i770SA2では、CPUは標準で4コア版のCore i7-3630QM(動作周波数2.40GHz/ターボ・ブースト機能利用時最大3.40GHz)を搭載している。さらに上位のCPUとしてはBTOオプションでCore i7-3740QM(同2.70GHz/3.70GHz)、Core i7-3840QM(同2.80GHz/3.80GHz)が選択できるほか、価格を抑えたいユーザーには2コア版のCore i5-3230M(同2.60GHz/3.20GHz)を搭載したベーシックモデル「NEXTGEAR-NOTE i770BA2」も用意されている。

グラフィックスチップはNVIDIAのモバイルPC向けGPUの新製品、GeForce GTX 670MXを採用した。実際のパフォーマンスは後段のベンチマークテストで確認するが、最上位クラスを除いた普及価格帯のノートPCとしては、これまでにない充実した性能となっており、ノートPCでゲームを楽しみたいと考えるユーザーの、需要の多くを満たすことができると考えられる。

そのほか、標準ではDVDスーパーマルチドライブを搭載しているが、これはもちろんブルーレイディスクドライブに変更が可能。また、ディスプレイ上のWebカメラは200万画素で、内蔵のカメラとしてはまずまずの高画質となっている。Skypeやゲーム中のチャットなどで活用することができるだろう。

天板はツヤなしのブラックで落ち着いた風合い 内蔵Webカメラの有効画素数は200万画素

上位モデルとしては、CPUやメモリ、光学ドライブなどの構成をアップした「NEXTGEAR-NOTE i770GA2」および「NEXTGEAR-NOTE i770PA2」が用意されているが、モデル間のほとんどの差はBTOオプションのカスタマイズで埋めることができるので、最小限の投資で必要なスペックを得られるようになっている。OSはWindows 8が標準だが、いずれの構成でもWindows 7搭載モデルを選択可能だ。

テンキー付きのキーボード。移動によく使われるW・A・S・Dの各キーには矢印が印刷されており、PCゲームは初めてというビギナーも安心