本記事では今年1年の総括の意味も込め、クリエイティブ関連の話題を中心に、2012年印象的だったニュースをお届けする。

「六本木アートナイト2012」開催

東京を代表するアートイベントとなった「六本木アートナイト2012」が3月24日に開催された。今回の大目玉は前衛芸術家の草間彌生氏による新作2点、全長10mのバルーンで出来た『ヤヨイちゃん』と愛犬『リンリン』の公開。プレスプレビューには草間氏本人も登場し、「私の生き様を見て!」とアピール。震災の影響で2年ぶりの開催となった同イベントは、未曾有の災害に対してアートができることはなにかを考えさせられるものとなった。

ワコム、ペンタブレット「Intuos5」発売

ワコムのプロフェッショナル向けペンタブレット「Intuos」シリーズから、最新モデルとなる「Intuos5」が3月16日に発売された。従来機「Intuos4」で実現した基本性能を継承しつつ、操作性を大幅に向上。「Intuos」シリーズとしては初となるマルチタッチ/ジェスチャー機能を搭載したペン&タッチモデルをラインナップに加え、ペン操作とスマートフォンのような指によるタッチ操作の両方が可能となった。クリエイターからも高い評価を受けている。

アドビ「Adobe Creative Cloud & CS6」発売

アドビ システムズは5月11日、「Adobe Creative Cloud」と「Adobe Creative Suite 6」を発売した。「Adobe Creative Cloud」については、サブスクリプションというこれまでにない購入方法だったが、年間あるいは月間という期間内で、最新アプリケーションを好きなだけ利用できるという利便性などが評価され、今では浸透しつつある。

ワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq」シリーズにマルチタッチ対応モデル登場

ワコムはプロフェッショナルグラフィックス用液晶ペンタブレット「Cintiq」シリーズの新ラインアップとして、高精度なカラーマネジメントとマルチタッチ操作が可能な「Cintiq 24HD touch」と、21.5型フルHDワイド液晶ディスプレイを搭載した「Cintiq 22HD」を7月10日に発表した。

アドビ、新ツール「Adobe Edge Animate」をリリース

アドビ システムズは、9月24日(アメリカ時間)に米・サンフランシスコで開催された同社の開発者向けイベント「Create the Web」にて、「Adobe Edge Animate 1.0」を始めとする「Adobe Edge」ブランドのツールおよびサービス製品群を発表した。ツール群の目玉となる「Adobe Edge Animate」は、アニメーションに対応したインタラクティブなコンテンツを作成できるソフトで、2011年より公開されたプレビュー版では、50万を超えるダウンロード件数を記録するなど、好評を得ていた。

新国立競技場の改築デザインが決定

日本スポーツ振興センターは11月15日、世界中のクリエイターから募集した国立競技場のデザイン案の中から採用するデザインを発表した。最優秀賞に選ばれたのは、ザハ・ハディド・アーキテクツのデザイン案。改築案の中でも特に話題を集めていた、近未来的なデザインだ。建築家 安藤忠雄氏をはじめとする審査委員会は、「大胆な建築構造がそのまま表れたダイナミックなアリーナ空間の高揚感、臨場感、一体感」、そして「強靱(きょうじん)な論理に裏付けられた圧倒的な造形性」を高く評価した。

ティム・バートン監督最新作『フランケンウィニー』のアート展開催

ティム・バートン氏本人が「味わい深く、ユニークで美しいアート・フォーム」と評したストップモーション・アニメーションと、最新の映像テクノロジーを融合させた“白黒3D”長編映画『フランケンウィニー』の公開を記念し、アート展が開催された。同作では、1秒間の映像を作るために、キャラクターを24回動かさなければならず、製作期間に2年を要したという。

2012年度のグッドデザイン大賞決定

公益財団法人日本デザイン振興会は11月26日、2012年度グッドデザイン賞の中から「グッドデザイン大賞」を選出。今年度の大賞は、「デザインあ」に贈られることが決定した。「デザインあ」は、日本放送協会が放送しているテレビ番組。毎回、第一線で活躍するデザイナーが、子どもたちの周りに当たり前に存在しているさまざまなものや仕組み、人々の行動などをデザインの視点から見つめ直し、映像と音楽で表現している。同番組のディレクターは、デザイナーの佐藤卓や中村勇吾、ミュージシャンのコーネリアスが務めている。

文化庁メディア芸術祭、大賞作品発表

文化庁メディア芸術祭実行委員会は、メディア芸術祭賞(文部科学大臣賞)の受賞作品・受賞者を12月13日に決定した。グランプリに輝いたのは、アート部門 Cod.Act(Michel DECOSTERD/Andre DECOSTERD)の「Pendulum Choir」。エンターテインメント部門は真鍋大度/MIKIKO/中田ヤスタカ/堀井哲史/木村浩康の「Perfume "Global Site Project"」、アニメーション部門は大友克洋の「火要鎮」、マンガ部門はブノワ・ペータース/フランソワ・スクイテン(訳:古永 真一/原正人)の「闇の国々」が受賞した。

LINE、「iFデザイン賞」を受賞

NHN Japanは、スマホアプリ「LINE」が世界3大デザイン賞のひとつ「iFデザイン賞」を受賞したことを12月13日に発表した。「iFデザイン賞」は、全世界の工業製品から優れたデザインを選定する国際的なデザイン賞。ドイツ・ハノーバー工業デザイン協会が1953年から主催するもので、「レッドドット(red dot)」および「IDEA(International Design Excellence Awards)」とともに世界3大デザイン賞のひとつとされている。