現在多くの企業において、コスト削減や生産性向上、ワークスタイルの変革の実現策として個人所有の携帯電話やスマートフォン等のモバイル端末を業務で利用する「BYOD」が注目されている。

導入する場合には、業務で利用した通話料金を会社側が適切に負担することと、社員のプライベートの電話番号がビジネス通話の相手に通知されないような、プライバシーへの配慮が必要となる。モバイル端末のBYODを推し進める際のこうした二つの課題に、答えを出したのがNTTコミュニケーションズだ。

二つの課題を解決する新サービス

NTTコミュニケーションズ ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部 販売推進部門 主査 赤井英夫氏

「BYOD活用のニーズが高まっていますが、私有の携帯電話を業務で利用する場合、ビジネス通話料金の精算処理が煩雑になることと、また、私有携帯電話の電話番号がビジネス通話の相手に通知されるといった二つの課題があります。これらの課題を解決するため、弊社ではこれまで提供してきた『050 plus for Biz※1』『0035ビジネスモード※2』といったBYOD向けサービスの機能を拡充し、新たなBYODソリューションを提供開始しました。それが『050 plus W-mode』です」と語るのは、NTTコミュニケーションズ ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部 販売推進部門 主査である赤井英夫氏だ。

※1「050 plus for Biz」はスマートフォン向けの050 IP電話サービスで、専用アプリを使って利用する。「050 plus for Biz」サービスの利用者同士やNTTコミュニケーションズの050 IP電話への通話はいつでも無料になり、一般の固定電話や携帯電話への通話も割安になるのがポイントだ。通話相手には050番号が通知される。

※2「0035ビジネスモード」は、スマートフォンのほかフィーチャーフォンでも使えるサービスで、発信時に「003543」を相手の電話番号の前に追加して利用するというもの。通話相手には携帯電話の080または090番号が通知される。

2012年11月に発表された『050 plus W-mode』は、ビジネス通話料金とプライベート通話料金の公私分計ができ、ビジネス通話を発信する際には、ビジネス専用の050番号を相手に通知できるサービスだ。しかもこのサービスは、携帯電話やスマートフォンなどの端末種別を問わずに利用することができる。また、ユーザー自身が利用シーンや電波状況にあわせ、通話料金が安い「IP電話モード」と通話品質が高い「携帯電話モード」を通話時に選択できる機能なども備えている。

NTTコミュニケーションズ ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部 販売推進部門 安藝ひとみ氏

「個人端末を業務で利用する場合でも、ビジネス通話分のみ会社へ一括請求するかたちになるので、通話料金の精算処理が簡単にでき、精算処理に関する課題が解決できます。 また、プライベート番号が取引先に通知されてしまうので困るという声がこれまで多く聞かれました。そこで、携帯電話やスマートフォンなど端末種別を問わず、相手には050で始まる番号を通知するようにしました。プライベート番号を相手先に通知することなく通話でき、社員のプライバシーに配慮できます」と、「050 plus W-mode」を提供した背景をNTTコミュニケーションズ ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部 販売推進部門の安藝ひとみ氏は説明する。

利用は非常に簡単

実際にスマートフォンで「050 plus W-mode」を使う方法を紹介しよう。といっても、準備作業は、スマートフォンに「050 plus W-mode」のアプリケーションをインストールするだけだ。通話時には、このアプリを起動して利用する。

相手の電話番号はキーパッドで直接入力してもよいし、スマートフォンの電話帳から選択することもできる。画面下のボタンで利用シーンや電波状況に応じて「IP電話モード」か「携帯電話モード」を選択し発信するだけでよい。相手先には、どちらの回線を利用しても「050」から始まるビジネス用番号が通知される。

【発信者のスマートフォン】
「050 plus W-mode」のアプリケーション

【相手先のスマートフォン】
相手先には「050」から始まるビジネス用番号が通知される

プライベートで使うときは、「050 plus W-mode」のアプリケーションを起動せず、従来通りスマートフォン標準の電話機能を利用すればよい。簡単にプライベートとビジネスを使い分けて通話ができる。『050 plus W-mode』アプリのUIも標準の電話機能に近いので、操作で迷うようなこともない。

どの端末でも、どのキャリアでも利用可能

またこのサービスは、フィーチャーフォンであるか、iPhoneやAndroid搭載スマートフォンであるかを問わず、さらにはどのキャリア、どのメーカーの端末でも利用できる。つまり、使う端末を選ばず、全社員が同じサービスを利用できるのだ。

「社員の私有する携帯端末は、フィーチャーフォンから最新のスマートフォンまで、携帯キャリアも端末もバラバラ、という会社がほとんどでしょう。BYODを全社的に導入するならば、フィーチャーフォンでは使えなかったり、特定のキャリアでしか使えないというサービスでは社員が所有する端末によって不平等が発生することになります。その点、全キャリアのどの端末でも使えるという意味で『050 plus W-mode』は非常に価値が高いサービスです」と赤井氏。

スマートフォンで利用の場合

フィーチャーフォンで利用の場合

また、多くの社員が利用することで、さらなるコスト削減につなげることもできるという。

「IP電話モード」では、050IP電話※3同士の通話は無料ですから、スマートフォンを内線のように利用することで、通話料の削減が期待できます。また、会社で携帯電話の貸与を行う必要が無くなるので、携帯電話の端末費や基本料などの固定費も、大幅に削減できる可能性があります。さらに、管理業務にかかるコストの低減にもつなげることができます」と安藝氏は語る。

※3 NTTコミュニケーションズが提供する050IP番号サービスと無料通話先プロバイダ各社が提供する050IP電話サービスの050番号の場合。

なお、導入のメリットが大きいのはどのような企業なのだろうか。

「携帯電話に関するコストを抑えたい企業全般ですが、とくに運送業など、オフィスの外で連絡することが多い業種が挙げられますね。また、実は海外から日本への通話が、国内にいるときと同じ料金でかけられるという特長があるので、商社など海外で使う方にとってもメリットが大きいです」(赤井氏)

社員の持っている携帯電話端末やキャリアに拠らず、また幅広い業種で導入の価値がありそうなこのサービス。電話サービスを長く提供してきたNTTコミュニケーションズならではの、音声系BYODソリューションの決定版が「050 plus W-mode」と言えるだろう。

ちなみにBYODの導入にあたっては、今回紹介したような音声系ソリューションだけでなく、セキュアな環境を構築することも重要となるが、同社ではそのためのサービスも用意している。このようにBYOD導入の不安を払拭するようなサービスも続々と提供されており、今後もBYODの普及は加速していくのではないだろうか。