米IBMは12月17日、今後5年間で人々の生活を大きく変える可能性を持った5つのイノベーションを発表した。今回、同社の将来予測において取り上げられたイノベーションは、視覚・嗅覚・触覚・味覚・聴覚という人間の五感に関する技術となっている。

発表によると、同社は触覚に関するイノベーションにより、5年後には、モバイル端末を通じてさまざまな物の手触りを確かめられるようになると予測している。たとえばオンラインショッピングでは、ファッションアイテムなどの手触りをチェックしてから購入を決めることが可能になるという。

触覚に関するイノベーションのイメージ

視覚に関する技術については、人間が写真を見るときと同じように、コンピューターが画像の内容を理解できるようになると予測。視覚メディアから色やテクスチャー・パターン、エッジ情報といった特徴を解析することで、画像の内容を認識するだけでなく、その画像が持つ意味など、より深い情報を読み取ることが可能になるという。同社はこのような人間の視覚によく似た新技術が、5年以内に医療業界で実用化されるとみている。

視覚に関するイノベーションのイメージ

聴覚関連のイノベーションでは、高性能のセンサーが開発され、音圧、振動、音波など、音に関するさまざまな情報を検出できるようになるという。この技術によって、5年以内に声の高さや口調などから人間の感情や雰囲気を読み取ることが可能になり、コールセンターなどでの活用が予想されている。

聴覚に関するイノベーションのイメージ

味覚のイノベーションについては、同社が味を感じるコンピューターシステムを開発しているという。同システムは食材を分子レベルで解析するだけでなく、人が好む味付けなども考慮して、新しいレシピを作り出すことができるとのこと。

味覚に関するイノベーションのイメージ

嗅覚の分野に関しては、今後5年間で、コンピューターや携帯電話に埋め込まれたセンサーによって風邪などの病気の前兆を検出できるようになるとしている。また、医師がこの技術を活用すると、息の匂いなどから肝臓疾患、腎臓疾患、喘息、糖尿病、てんかんといった病気の発症を診断可能になるという。

嗅覚に関するイノベーションのイメージ