マイクロソフトは、東京都・六本木にて、アプリ開発者向けイベント「8nights」を12月4日に開催した。このイベントはアプリ開発者たちにWindows8向けアプリの魅力を伝えることを目的としたもので、会場となった六本木のイベントスペース「ColoR.Tokyo Night Cafe」には多くの人が詰めかけ、またその様子はニコニコ生放送で中継された。

冒頭では各PCメーカーによるライトニングトークが行われ、Windows8搭載端末についてのプレゼンテーションが行われた。各社とも普段マスコミ向けに行うプレゼンよりはやや砕けた内容で、富士通は自社の防水タブレット端末に会場で提供されたドリンクを浴びせる演出を行うなど、各社とも工夫を凝らした内容が展開された。

日本エイサー

ASUS JAPAN

富士通

日本ヒューレット・パッカード

レノボ・ジャパン

NECパーソナルコンピュータ

SONY

東芝

パナソニック

Windows8版「niconicoアプリ」開発秘話

Windows 8対応の「niconicoアプリ」開発について、ドワンゴ ニコニコ事業統括本部 プラットフォーム事業本部 第一企画開発部の清水俊博氏が登壇し、その開発エピソードなどを披露した。

Windows 8版の「niconicoアプリ」

同アプリのコンセプト。既存ユーザーを尊重し、「ニコニコ動画」の文化である"弾幕"などの再現性にも留意したという

「Windows 8のIEではFlashが動作しない(=ニコニコ動画が再生できない)」というリリース前の"噂"がきっかけでアプリ開発が始まった

koizuka氏の作業環境

実装したコードの一部

同アプリの展望。今後も機能増強が行われていくとのこと

ニコニコ動画に携わる開発者としてユーザー間では知られた存在のkoizuka氏含め、「.NET Framework以降のWindowsプログラミングは全員が未経験」という状況から、いかにして開発を進めていったのか、ソースコードを一部公開しながら「niconico死亡のお知らせ」など、「ニコニコ動画」カルチャーを反映した内容で解説を行った。

「Mac」と「Google Crome」でWindows8アプリを開発

続いてのセッションでは、ジャムロジック Ext Japanのシニアアーキテクト・野村亮之 氏が、Macを使ってWebサービスのWindows 8版アプリを作成する過程を披露した。プレビューに使うブラウザをあえてGoogle Cromeに指定するなど、マイクロソフト主催のイベントとは思えない展開に会場からは笑いが起こっていた。

Windows用アプリ開発に対して開発者が抱くであろう疑問をスライドに表示

現場でアプリ化の手順が公開されたWebサービス「soundSquare.asia」

アプリ化に使用したフレームワーク

プロジェクトの配置を図示

アプリ化に際して起こる可能性のあるエラーは有志によってパッチが配布されているという

Windows8アプリ移行の際に気をつけるべきポイント

今回、制作過程がプレゼンテーションされたのは、試聴音声を続けて再生し、iTunesで購入も可能なWebサービス「soundSquare.asia」。jQueryやCreateJSといった既存のJavaScriptフレームワークを用いてのWindows 8アプリ開発は「思った以上に楽だった」と同氏は語り、開発者が行き当たるであろうエラーのパッチ配布情報や、マイクロソフトのソフトウェア開発スイート「Visual Studio」の機能によって移行作業がスムーズに進んだことについても言及しており、Windows環境にない開発者でも容易にリーチを広げられる可能性を見せていた。

enchant.jsでWindows 8向けゲームアプリを開発

最後のセッションでは、ユビキタスエンターテインメント 代表取締役社長兼CEOの清水 亮氏が、同社が配布しているjavascriptとHTML5をベースとしたアプリ開発フレームワーク「enchant.js」を用いたWindows 8向けゲームの開発についてトークを展開した。

「enchant.js」の特徴

「enchant.js」のベースにHTML5が用いられている理由は、開発の容易さやクロスプラットフォーム性にあるという

「enchant.js」の記述例

「enchant.js」をブラウザ上で学習できるサイト「code 9leap」

同社がWindows8対応記念に開いたゲームコンテストの優秀作品を、現場でアプリ化する実演が行われた

プレゼンテーションのまとめ

冒頭でenchant.jsのメリットを軽妙な語り口でアピールした後、マイクロソフトの「Visual Studio」を用いて、enchant.jsベースの既存ゲームをその場でWindows 8向けアプリにする実演も行われ、その作業の手軽さに、会場からは驚きの声が上がっていた。

Windows8アプリ制作に携わる"騎士"志願者を募集中

なお、マイクロソフトではWindows 8アプリの開発者を「8knights」と名付け、登録を募っている。すでに開発したゲームが手元にある人やこれから挑戦しようとする人は、登録することで特典を得られる。詳細は同イベントのWebページに記載されている。

また、当日のプレゼンテーションの様子は12月17日現在、全編にわたってUstream上で閲覧することができる。興味を惹かれた内容についてはぜひムービーで視聴してみてほしい。