Cypress Semiconductorは12月11日(米国時間)、ARM Cortex-M3ベースのデバイスとしては最高クラスのA/Dコンバータ(ADC)を搭載したプログラマブルシステムオンチップファミリ「PSoC 5LP」を発表した。

同ファミリは12ビットの差動SARおよび20ビットの差動DelSig ADCの動作において、クラス最高レベルとなる1.024V±0.1%の精度の内部リファレンス電圧を使うことで高精度を実現することが可能。同ADCは、最大62チャンネル入力可能なマルチプレクサを搭載し、1.71~5.5Vの範囲でフルファンクション動作を実現しており、Cortex-Mデバイスで最大となる0~5.5Vの入力信号レンジを提供するという。

また、ハイバーネートモードで消費電力300nAを実現。I/Oからのトリガでウェイクアップし、CPUコアやSRAM、デバイスコンフィギュレーションの状態を保持するほか、シングルセルバッテリオペレーションに最適な自社技術「ブーストテクノロジ」により、0.5Vで起動および制御が可能だ。また、PSoCは固定機能MCUとは異なり、各ペリフェラルコンポーネントをカスタマイズして不必要なファンクションが電力を消費しないようにすることができるため、さらなる低消費電力化を実現することが可能だという。

さらに、開発ツールである「PSoC Creator IDE」を活用することで、コンポーネントを柔軟にルーティングしたり相互接続したりすることが可能なほか、独自のエンベデッドコントローラを容易に設計し、標準および設計済みのプロトコルを、特定の変更を加えながら実装することが可能だ。独自のロジックファンクションやペリフェラル、アナログフロントエンド、アナログサブシステムも設計可能であり、設計者は80を超える事前検証済みコンポーネントと組み合わせることで、複雑な設計課題を解決できると同社では説明する。

PSoC Creatorでは、PSoCプログラマブルハードウェアをパーソナライズされたワンチップソリューションとしてコンフィギュレーションすることが可能です。この無償IDEは、デバイスを容易にかつ迅速にコンフィギュレーションできる、量産でも使用可能なコンポーネントおよびAPIを提供し、また、独自にカスタマイズしたコンポーネントは再利用することも可能です。

なお、PSoC 5LPはすでにサンプル出荷を開始しており、PSoC 5LP開発キット「CY8CKIT-050」も99ドルにて提供が開始されている。

PSoC 5LPのイメージ図