Texas Instruments(TI)は、組み込みプロセッサ向けソフトウェアおよびツール群で構成される自社のエコシステムに、プリエンプティブ・マルチスレッド・カーネルベースのリアルタイムOS(RTOS)「TI-RTOS」を追加すると発表した。

同OSについて同社では、マ イコンのソフトウェア設計を容易にすることができ、開発者は上位のアプリケーション開発に専念できるようになると説明している。

安定した組込みオペレーティング環境でのソフトウェア開発を容易にするコンポーネントとして、確定的なリアルタイム・マルチタスク・カーネル(SYS/BIOS)や、複数のネットワーク・アプリケーションを含む、TCP/IPスタックを搭載しているほか、USB、EMAC、MMC/SDホスト、デバイス・スタック群やクラス・ドライバ群、C言語によるRTSファイルI/O関数を網羅したFAT互換のファイル・システム、デュアルコア・デバイス向けの低オーバーヘッドのコア間通信メカニズムなども提供される。

パッケージを開封したときからテ スト済みの各種コンポーネントによって、すぐにソフトウェア開発を着手でき、信頼できるネットワーク接続などの評価が可能なほか、ユーザーは、アプリケーションをマルチスレッド環境内で正しく動作させるために、複数のコード群の組み合わせや、異なるバージョンのコンポーネントの接続試験が不要という特長がある。また、重要なリアルタイム応答性を低下させずに、新しいタスクを追加できることから、既存のソフトウェア・ベースに機能を拡張するが可能だ。

さらに、ARMおよびC28x DSPコア両方で同じTI-RTOSカーネルを使用してデュアルコア・デバイス間でタスクを分散しパフォーマンスを最適化することが可能なほか、マルチタスク開発および統合に適したコード例およびAPIを含む、設計を強化する堅牢なドキュメントおよびサンプルコードが提供されていることに加え、アプリケーションでは必要のないソフトウェア機能を簡単にリムーブすることが可能で、小さなフットプリントであるモジュラーアーキテクチャに基づくRTOSとオンチップメモリの制約にきめ細かく対応することが可能となっている。

なお、同OSは、初期費用やランタイム・ライセンス費が不要で、C言語ソースコードで提供され、ARM Cortex-M4マイコン製品 およびC2000デュアルコアC28x+ARM Cortex-M3マイコン製品から供給を開始し、順次MSP430マイコンやその他のC2000およびARMベースのマイコン製品への適用が図られていく計画。同社では、同TOSをマイコン製品ポートフォリオに限らず、他のプロセッサ・ファミリにも拡張する予定で、すべて無償で提供する予定としている。