GoogleのAndroidプロジェクトというと技術担当副社長としてAndroid開発を率いるAndy Rubin氏の顔が浮かぶが、Rubin氏と共同で2003年にAndroidを立ち上げた人物がRich Miner氏だ。2005年にGoogleがAndroidを買収した後、Miner氏は2009年にはAndroidから距離を置き、現在Googleの投資部門であるGoogle Venturesのゼネラルパートナーとしてベンチャー育成に携わっている。そのMiner氏が11月はじめ、米サンフランシスコで開催されたイベント「Open Mobile Summit 2012」でAndroidや自身が注目する新しい分野などについて語った。

Androidの分断化は問題ではない

ちょうど11月はじめにAndroidは5周年を迎えたこともあり、対談形式で進められたMiner氏のパネルはAndroidの話がメインとなった。

AppleのiPhoneに遅れること1年、Open Handset Alliance (OHA)としてOEMメーカーを募りAndroidスマートフォンの作成をプッシュしはじめた当初、Androidの成功に懐疑的な向きもあった。だが現在、Androidのシェアは7割を超える勢いだ。このような成功を当時予想していたのだろうか? ーーGoogleに買収後、Androidプラットフォームとエコシステムの開発に携わったMiner氏は、Androidの重要な目標として"オープン"を強調する。

「開発者、メーカー、オペレーターにモバイルはすばらしいプラットフォームになると説得する必要があった。ソースコードにアクセスできるようにすることで、Androidの受け入れは進んだ。(コードをオープンにすることは)Android立ち上げ時に作った土台となる原則だった」とMiner氏。

モバイルはPC業界と同じようになると考えることもできたが、「タッチ画面、大画面などの画面の進化、プロセッサの高速化、メモリの大容量化、バッテリの改善 ーーこれらが合流し、携帯電話をコンピュータとは違うものにしている」とも述べた。それでも、「Andy (Rubin氏)は(プロジェクトを通じて)毎日学んでいる。AndroidはGoogleにとって実験的なプロジェクト」という発言からは、まずはローンチして、走りながら修正・改善していくGoogleらしさが感じられる。「もっとうまくやれたと思うところはあるか?」との質問には、「これ以上はない」と満足顔で返した。

会場からは、分断化(流通しているOSのバージョンが異なる)、それにマルウェアと、Androidにまつわる2つの懸念が出た。分断化については、「その恐れがあるとずっと言われているが、現実にはそれほど大きな問題になっていない。ほとんどのアプリは動くし、もし分断化が現実に問題となっているのなら、不満の声が出ているだろう」と楽観した。

マルウェアに関しては、必要以上に個人情報にアクセスするアプリなどが多数報告されており、Androidはセキュリティ専門家の分析の対象になっている。これについては、「Googleはこの分野で継続してイノベーションを続けている」とコメントした。

Miner氏はまた、オペレーターについては、「もっとAndroidをカスタマイズすると思っていた」と述べ、暗にオペレーターに対してユーザー体験改善のためにAndroidをカスタマイズすることを提案してみせた。

RIMの弱体化は大きなチャンス

Miner氏は2009年にAndroidから離れ、Google Venturesでパートナーとしてベンチャー企業の発見や育成を行っている。Google Venturesは11月に入り、これまでの年間のファンド投資額を2億ドルから3億ドルに増額させたことが報じられた。

そのGoogle VenturesでMiner氏はこれまで、iOS/Android/Windows Phoneに向けたモバイルアプリ開発ツールのParseやアプリの性能モニタリングのCrittercismなどの開発系、モバイル決済やゲーム、レストランなどの場所やモノを評価するStamped(GoogleからYahoo!のCEOに就任したMarissa Mayer氏により買収された)などに投資している。

「われわれは大きなアイディアを持った聡明な人を探している」とMiner氏。「自分がやっていることに情念があり、やっていることが将来大きな意味を持つことになる人」と続ける。"モバイル"は、Google Venturesが動向を追っているさまざまな分野の一分野に過ぎないとしながらも、モバイルでMiner氏がチャンスを感じる分野を、アイディアのヒントとしてを明かしてくれた。

まずはエンタープライズだ。Research In Motion(RIM)がシェアを落とし、刷新に手間取る中、Google、Apple、Microsoftはいずれもコンシューマを狙っており、RIMの牙城だったエンタープライズに大きな穴が空いているという。「エンタープライズに大きなチャンスがある」とMiner氏。開発者が収益を得る(マネタイズ)する方法として、有料ダウンロード、広告などがあるが、エンタープライズは大きな市場であると述べる。「(エンタープライズで)ちゃんとしたアイディアを磨き上げているところはない」(Miner氏)。このほか、モバイルでチャンスがあると感じている分野としては、セキュリティを挙げた。