イーソルは11月13日、早稲田大学(早大)が研究開発を行っている 「早稲田OSCAR並列化コンパイラ(OSCARコンパイラ)」を用いたマルチコアプロセッサ向けプログラム並列化支援サービスに向け、早大と共同研究を開始することを発表した。

OSCARコンパイラは早大 理工学術院の笠原博徳教授のグループが研究開発を行っているもので、C言語またはFortranで作成された逐次プログラムから、ソフトウェア標準 「OSCAR API 2.0(OSCAR API)」で記述された高速・低消費電力動作を可能にする並列プログラムを自動生成するもの。

同コンパイラを用いることで、組込機器やスーパーコンピュータなどの各種マルチコア、メニーコア、共有メモリ型マルチプロセッサにおける設計や開発・デバッグの複雑さを課題とするマルチコアプロセッサ向けソフトウェア開発のコストと期間を削減できるようになるという。例えば、3コアが搭載されたルネサス エレクトロニクス製 「EC-4260(NaviEngine-MID)」とイーソル製マルチコアプロセッサ対応リアルタイムOS 「eT-Kernel Multi-Core Edition」の環境で評価用並列プログラムを実行した際、1コア実行時に比べて、プロセッサコア数の等倍に近い、2.9倍高速化できることが確認されている。

また、OSCAR APIに用意されているハードウェアの利用電力を直接制御できるAPIを使うことで、低消費電力化も実現できるという。

なお、イーソルでは、早大グリーン・コンピューティング・システム研究機構アドバンストマルチコアプロセッサ研究所の招聘研究員として、同研究所内に設置されたマルチコア・メニーコア・アーキテクチャ・アプリケーションAPI委員会で進められたOSCAR API 2.0の策定に参画しており、今後、対象マルチコアシステムのOSの種別を問わず、OSCARコンパイラを活用した、マルチコアシステム最適化のコンサルテーションや、並列化の受託開発などを含む総合的な支援サービスの提供に向けて、早稲田大学との共同研究を進め、ユーザーニーズに合わせて、eT-Kernel Multi-Core Editionと専用の開発ツール「eBinder」を組み合わせたソリューションの提案などを行っていくとしている。