Appleのリテール戦略がますます強化されている。同社は2012年に33の新規店舗を開き、同年終了時点で全世界で390店舗を展開することになるが、2013年にはさらに30~35の新規出店を計画しており、ダイレクトセールスに攻勢を掛けている。しかも新規出店の4分の3は米国外とのことで、主に海外でのプレゼンスを高めていく狙いがあるとみられる。

この方針は10月25日(米国時間)にAppleが2012年度第4四半期(7~9月期)決算を発表した際に、米連邦証券取引委員会(SEC)に提出した通年決算レポート(10-K)から判明したもの。Apple Retail Storeなど2012年の同社リテール部門での売上増加率は33%で、売上のウェイトとしては決して小さくない水準だ。

同社によれば、2010年終了時点で317店舗だったApple Retail Storeは、2011年終了時点では357店舗となり、新たに40店舗が開店したという。このうち7割にあたる28店舗が米国外の店舗であり、新規出店はむしろ米国外のほうが活発だとみられる。そして2013年には30~35店舗の新規出店を計画し、このうちの4分の3が米国外とのことで、海外比率はさらに高まっていくことになる。

主な出店先は売上比率の大きい欧州のほか、伸び率の高い中国をはじめとするアジア地域とみられる。フランスはパリのルーブル美術館やオペラ座といった一等地の店舗がある一方で、郊外のショッピングモールなど不便なエリアにしか店舗がない都市もあり、今後さらに穴を埋めるような店舗展開が続いていくだろう。

パリのオペラ座にあるApple Retail Store。写真はiPad mini発売直前の11月1日夜で、手前のバリケードは行列整理のために設置されているもの