特に電子書籍では、縦位置での1ページ表示、横位置での見開き表示ともに十分視認可能。マンガの吹き出しの内容も見開き表示で問題なく読むことができる。「Retinaではない。ただ、バランスには優れている」というのが筆者の第一印象だ。

外観デザインは、アルミ外装によるアップルお得意の高級感の演出が目を引く。丸みを帯びた筐体を採用し、ボタンやスイッチ類もアルミを使用。ガラスで覆われた液晶が印象的な端末表面からアルミ素材の側面へと自然につながるデザインは所有欲をかき立てる。傷つきやすいアルミ素材の採用している点、ホームボタンの位置に窮屈さを感じる点などが気になるが高級感の演出は成功していると思う。

本体背面から前面にかけての一体感は見事

今回もIPSを採用し、表示もキレイで、視野角も広い

今後発売予定のWi-Fi+4Gモデルに期待

今回登場したWi-Fiモデルは、通信機能が無線LANのみのため、外出先ではポータブルWi-Fiルーターや公衆無線LANサービスを利用する必要がある。筆者はカフェのような腰を落ち着けられる場所でしかタブレットを使わないので、Wi-Fiモデルでも支障はない(めったに持ち歩かないが……)。しかし、iPad miniは前述の通り、“持ち歩く気になる“端末だ。電車の中や乗り換え待ちのようなちょっとしたタイミングで利用したい。その意味では、今後発売予定のWi-Fi+4Gモデルの存在意義は大きい。

また、iPad miniは大容量バッテリを搭載するため、テザリング機能を使って長時間駆動のルーターとしても活用する、といった使い方も考えられる。筆者はNTTドコモの7インチタブレットの「MEDIAS TAB」をモバイルルーターとして活用しているが、これと同じことがiPad miniでも可能なのだ。

とにかくiPad miniの価値は「薄く軽い7インチクラスのタブレットに最大限の大きな液晶を搭載し、長時間駆動も実現した」という点だ。

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iPad miniは、iPhoneよりも大きい画面が欲しい、でもiPadでは大きくて重い、という人にはぜひお勧めしたい端末だ。これまで述べてきたように、iPad miniの真価は持ち歩いたときにあると思う。だが、ソファーの上ではiPad、トイレや寝室にはiPad miniといった使い分けで宅内専用の端末にするのも良いかもしれない。

アップルはiPhoneとiPad、iCloudやiTunes、App Storeといったクラウドサービスでひとつの世界観を作り上げているが、iPad miniを触ってみると、これらの1つのパーツとして、7インチクラスはあるべきだった、と改めて感じる。これまでAndroidタブレットの独壇場だった7インチクラスのタブレットだが、iPad miniの登場でどのような変化が起こるのか注目したい。