NTTデータとNTTデータ経営研究所は10月26日、岩手医科大学とともに「次世代医用クラウドシステムによる脳卒中に関する統合診断支援プラットフォームの構築」に関する開発・実証プロジェクトを開始すると発表した。同プロジェクトは、脳卒中領域におけるコンピューター診断支援をメインとした統合情報処理サービスや、医療機器と診断支援を融合した包括的医療システムなどの次世代型サービスを実現するためのもの。

日本では脳卒中予防などを目的とした脳ドックシステムが普及しており、先進的な診断支援ソフトウエアも多数開発されている。しかし、これらの設備によって得られる脳画像などのデータは多くの場合、限定的な個別利用にとどまっており、情報活用の面では最新IT技術がほとんど生かされていないという。

このような状況を改善するために、今回、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受けて、NTTデータ、NTTデータ経営研究所、岩手医科大学および脳卒中領域に関わる医師・研究者が協力し、医用画像クラウドプラットフォームの構築と、そのビジネス展開に向けて取り組むことになった。

分析・検証は「国内の専門医療機関への脳卒中領域におけるコンピューター診断支援・研究支援サービスの提供」「国内・国外の一般医療機関への医療機器と診断支援サービスを融合した包括的な医療システムの提供」「医用画像および付随情報などのビッグデータによるエビデンスベースの予防・健康事業の創出」の3項目について、2014年2月末まで段階的に実施するという。

プロジェクトの全体像

医療用画像クラウドのイメージ

コンピューター診断支援サービスのイメージ

同プロジェクトにおいてNTTデータはシステム分野を担当し、脳画像データの安全な保管などを目的としたプラットフォームの構築を進める。また、プロジェクト全体の統括もNTTデータが行う。NTTデータ経営研究所はビジネス分野を担当し、ユーザーニーズ・関連企業の意向、関連法規などをもとにビジネスモデルの実現性・将来性を評価しながら、アプリやシステム開発へのフィードバックを実施。岩手医科大学は脳卒中領域に関わる医学研究者とともにアプリケーション分野を担当し、脳卒中診断支援アプリや高度解析アプリ、予防支援アプリを研究・開発する。