第8章 Windows 8に関するその他の機能とまとめ - 「Skip Metro Suite」と「Win+X Menu Editor」

スタート画面は有効のままにしながら、Windows 8の使い勝手を調整したいという方は、WINAEROが開発した「Skip Metro Suite」を試してみるといいだろう。本来はWindows 8のスタート画面をスキップし、デスクトップを表示することが目的のアプリケーションだが、バージョンアップを繰り返すことで、Microsoft Designスタイルの各種機能を無効にできるようになった。執筆時点ではバージョン2.1.1だが、本稿が公開される頃には機能的な差が生じているかもしれない。あらかじめご了承いただければ幸いだ(図595)。

図595 Windows 8の各機能を無効にする「Skip Metro Suite」

Skip Metro Suiteを起動すると、無効にする項目があらかじめ選択された状態で現れる。まずは各項目を紹介しよう。先頭にある<Skip Start Screen>は冒頭で述べたとおり、サインイン後にスタート画面ではなくデスクトップを表示する機能。「Hot Corners」セクションには、<Apps Switcher><Drag-to-Close><Charms Bar><Start Button><Charms Bar>の四項目。

<Apps Switcher>は、画面左上隅にマウスポインタを移動させると現れるアプリケーション切り替え機能を無効にするというもの。<Drag-to-Close>は、Windowsストアアプリを起動時に画面上部を下方向にドラッグすることでサムネイル化し、そのままWindowsストアアプリを終了させる機能を無効にする。<Charms Bar>は、画面右側に現れるチャームを無効にするための項目。そして<Start Button>は、デスクトップ左下隅にマウスポインタを移動させると現れるスタート画面を無効にできる(図596~599)。

図596 <Apps Switcher>を選択すると、この機能が無効になる

図597 <Drag-to-Close>を選択すると、この機能が無効になる

図598 <Charms Bar>を選択すると、この機能が無効になる

図599 <Start Button>を選択すると、この機能が無効になる

最後に<Save Settings>ボタンをクリックすると、Skip Metro Suiteはそのまま終了するので、一度Windows 8マシンを再起動しよう。するとClassic Shellと同じくスタート画面をスキップして、デスクトップが現れるが、前述したようなマウス操作がすべて無効になる。

この環境で併用したいのが、「Win+X Menu Editor for Windows 8 allows you to add or remove Win+X menu items(以下、Win+X Menu Editor)」である。第七章で紹介したようにクイックアクセスメニューはユーザーレベルでカスタマイズ可能だが、ショートカットファイルを追加するには同ファイルに署名データを加えなければならない。その操作をGUIから行うのがこのアプリケーションだ。

WebページからZIP形式ファイルをダウンロードして、Windows 8の32/64ビット版に併せた実行ファイル「WinXEditor.exe」を実行すると、SmartScreenフィルターによる警告が発生されるので、<詳細情報>→<実行>ボタンをクリックしてほしい。Win+X Menu Editorが起動すると、現在のクイックアクセスメニューがアイコン付きで表示される。メニュー項目の削除方法は既に述べたので、ここでは追加方法のみ紹介しよう。

<Add Group>ボタンをクリックすると、新しいグループを作成することが可能だ。その裏では「%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\WinX」フォルダーに新しいフォルダーが作成されている。<Add Shortcut>ボタンをクリックして任意の実行ファイルを選択すると、ショートカットファイルが同フォルダーに作成されるが、署名データを作成するのは<Apply>ボタンをクリックした後。バックグラウンドで「hashlnk_rp.exe」が呼び出され、署名データがショートカットファイルに書き込まれる。そして、エクスプローラーの強制再起動が実行され、クイックアクセスメニューのカスタマイズが行われるという流れだ(図600~604)。

図600 「Win+X Menu Editor~」を起動した状態。クイックアクセスメニューの内容を編集できる

図601 <Add Group>ボタンでフォルダーを、<Add Shortcut>ボタンで項目を追加できる

図602 項目名(ショートカットファイル名)は[F2]キーで変更可能

図603 <Apply>ボタンでカスタマイズ内容が適用される。この際もSmartScreenフィルターのチェックが入るので<実行>ボタンをクリックしよう

図604 これでクイックアクセスメニューの内容が変更された

なお、署名データを作成するコマンドラインツールを実行するには、Microsoft Visual C++ 2010 Redistributableが必要。未インストールの場合はZIP形式ファイルに同梱されている「vcredist_x86.exe」を実行してインストールしよう。このようなアプリケーションを使用することで、Windows 8の各機能を抑制し、使い勝手を向上させることができる。WINAEROには、この他にもWindows 8をカスタマイズするアプリケーションが多数公開されているので、興味のある方はチェックしてみると面白いだろう。