空手を始めてからモテたという押井監督

その意見で女性は動物的であり、生き物として正しい存在なのだと押井監督は言う。「男ってわかりやすくいうとクズなんですよ。生き物としての正しさからは外れている。そういう人間がケータイやPCを作ったりする。そういうものってどこか男のものなんです」

さらにトークは、押井監督の著書『コミュニケーションは、要らない』に触れたことをきっかけに「コミュニケーションとは何か」という議論へと展開する。

夏野氏はコミュニケーションについて、「日本人の言うコミュニケーションは甘えの論理」だとばっさり。「周りと仲良くやることがコミュニケーションをとることで、周りと摩擦を起こすことがコミュニケーションがとれていないと定義されてきた。それは120%間違い。本来、コミュニケーションは異文化と交流するツールだったはず」と日本におけるコミュニケーションのあり方を真っ向から否定する。

夏野氏からは自分そっくりのアンドロイドを創りだした大阪大学の石黒教授の話題も飛び出した

押井監督によれば、そうした現状を生み出した要因は、日本の歴史にあるのだという。

押井監督:「農業では一定の面積に無制限に労働力を入れていく。そのとき、一番評価されるのはどれだけ汗をかいたかということ。言葉はいらないから黙って働けということになる。アニメスタジオは未だにそう。職人とか農村とか、同じ種類の人間がいることが前提になっているとそうなっていく」

これを受けて夏野氏は「教育現場も国会も全部同じ」と述べ、「同じ釜の飯を食うという感覚が現場にはある。例えばパナソニックもシャープもソニーもみんなそう。役員が全員30年選手だから。僕はそれは一つの食中毒で死んでしまうから、こんな危ないことはないと思う」と警鐘を鳴らした。

最後にニコニコ動画の今後について尋ねられた押井監督は、「いつまでもは続かないだろうね」とばっさり。最初から最後まで"夏野節"と"押井節"が絶妙に交じり合った、興味深い対談となった。

夏野氏の著書『なぜ大企業が突然つぶれるのか』と押井監督の著書『コミュニケーションは、要らない』