Texas Instruments(TI)は、産業、輸送、車載および医療アプリケーション向けに開発および認証を迅速化する機能安全デザインパッケージ「SafeTI」を発表した。また、産業、医療およびエネルギー分野でのモーター制御アプリケーション向けに、ARM Cortex-R4コアを搭載した「Hercules RM4x」といった15種類のセーフティマイコンを含む新しいデザインパッケージ「SafeTI-61508」および、それらを補完するマルチレール電源(PMIC)「TPS65381-Q1」も併せて発表した。

SafeTIは、セーフティ分野の専門性を体系化し、アナログ製品およびマイコンからDSPまでの組み込みプロセッサを使用したデザインパッケージの他、ソフトウェア、サポート資料および独立認証機関による評価、そして認証資料などを包括したもの。産業、車載、輸送、エネルギー、医療など幅広いアプリケーションに適合可能で、セーフティクリティカルなシステムの開発を迅速化することが可能で、機能安全アプリケーション向けに提供する主要なコンポーネント5種類で構成されている。

1つ目は機能安全対応の半導体製品。機能安全規格に準拠した構成要素として開発された半導体製品であり、高い信頼感を持って各種の安全システムを構築可能となっている。

2つ目はセーフティ関連ドキュメントやツール群、ソフトウェア。開発や認証に必要な期間を短縮し、セーフティアーキテクチャおよび推奨使用条件を詳しく説明するセーフティマニュアル、セーフティ対応の詳細データを記載するセーフティ解析リポート、機能安全規格対応への準拠についてまとめたセーフティリポートなどが「SafeTI」資料として提供される。

3つ目は、システムとして機能安全機能に適合する組み込みプロセッサおよびアナログ製品セレクションガイド。

4つ目は、ISO 9001および車載向けのAEC-Q100を含むISO/TS 16949の各規格に関連した製品レベルでの要件に適合する高信頼性の製造プロセス。これにより、堅牢なシステムの実現に貢献することが可能になるという。

そして5つ目は、セーフティ開発プロセス。ISO 26262/IEC 61508/IEC 60730の各要件に準拠したセーフティ開発プロセスを適用、各標準規格の規定に従って査定済みという。

また、「SafeTI」はシステマティック(決定論的原因)故障およびランダム故障への対処を簡素化に向け、各種の安全標準規格への適合を実現している。さらに車載市場では、「SafeTI-26262」を使って、ISO 26262標準の安全要件へのコンポーネントレベルでの適合を実現し、ステアリング、ブレーキ、トランスミッション、電気自動車の電源管理および高度運転支援システム(ADAS)を含む、ASIL-AからASIL-Dまでをサポートする。

輸送、産業および医療向け市場では、「SafeTI-61508」を使い、産業用コントローラ製品、リモートI/Oデバイス、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)、安全回路およびプロセス管理装置、鉄道の列車制御、信号装置およびブレーキ、医療用投薬ポンプ、人工呼吸装置および注入装置などの設計に適合できるよう、IEC 61508のSIL-1からSIL-3の水準をコンポーネントレベルで、またSIL-4の水準をシステムレベルで実現することが可能。

家電製品向け市場には、IEC 60730標準規格に準拠し、Class AからClass Cの要件に適合する洗濯機、冷蔵庫および各種家庭用電気機器の制御装置向けに、IEC 60730/UL1998標準規格で認証されたソフトウェアで構成する「SafeTI-60730」がある。

なお、SafeTI-Quality Managed(QM)製品は、厳格なプロセスで開発され、システム構成部品の評価のためのSafety ManualおよびSafety Analysis Reportを提供。SafeTI-QM製品として、組み込みプロセッサ、電力管理デバイス、モータドライバおよび、その他数多くのアナログ製品が提供される予定。ツール群、ソフトウェアおよびサポートでは、安全製品向けコンパイラがある。開発ツールの信頼レベルを確立する一環として、SafeTI ARM Compiler Qualification Packageを供給する予定。同パッケージは、TI ARMコンパイラを使用する上でのドキュメント整備、解析、検証および品質評価を実施するキットを提供し、ISO 26262およびIEC 61508の各標準規格の要件への適合を支援する。

GUIベースのペリフェラル設定ツールは、SafeTI HALCoGenグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)が、ペリフェラル、割り込み、クロック、その他のマイコンのパラメータを設定するとともに、ペリフェラルおよびドライバ向けのコードを生成。同ツールを使用して、新規プロジェクトの開発を迅速化するとともに、TIの統合開発環境(IDE)「Code Composer Studio v.5」およびサードパーティのIDEへのインポートができる。

ISO 26262向けのMCALおよびSafe AutoSARは、Microcontroller Abstraction Layer(MCAL) 4.0および、TTTech/VectorのSafe Automotive Open System Architecture(AutoSAR)がTIから提供される。また、VectorおよびElektrobitが、ISO 26262 AutoSARのサポートを提供する。

IEC 61508規格の認証取得が可能なRTOSは、Wittenstein high integrity systemのSAFERTOS、MicriumのµC/OS、Express LogicのThreadX およびSCIOPTA RTOSなどが、認証取得に対応可能なリアルタイムオペレーティングシステムを提供する。