油井亀美也宇宙飛行士 (c)JAXA

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月5日、油井亀美也宇宙飛行士が、国際宇宙ステーション(ISS)の第44次/第45次長期滞在搭乗員として決定したことを発表した。

具体的な滞在期間は2015年6月頃から約6カ月間となる。ISSへの輸送機は打ち上げ、帰還ともにソユーズ宇宙船を使用し、第44/45次長期滞在中は、フライトエンジニアとしてISSの運用、宇宙環境を利用した科学実験などを担当する予定だという。

油井宇宙飛行士は、1992年3月に防衛大学校理工学専攻を卒業した後、防衛庁(現 防衛省)航空自衛隊に入隊、2009年2月に日本人宇宙飛行士候補者として選抜されたのち、基礎訓練を修了し、2011年7月にISS搭乗宇宙飛行士として認定された3名のうちの1名。2012年10月5日時点での年齢は42歳。

宇宙飛行士に認定された後も、2012年6月には米国海底研究施設(NOAA)での第16回 NASA極限環境ミッション運用(NEEMO 16)訓練に参加したほか、同9月には米アラスカ州で行われたNASAの野外リーダーシップ訓練(NOLS)にも参加するなど、ISS搭乗宇宙飛行士としての資質の維持向上を図ってきていた。

油井宇宙飛行士のISS長期滞在の決定で、ISSに長期滞在する(した)日本人は5人となる(これまでISSに長期滞在したのは若田宇宙飛行士、野口宇宙飛行士、古川宇宙飛行士、星出宇宙飛行士の4名)。

なお、JAXAでは、今回の長期滞在決定に対し、今後も、継続的な日本人宇宙飛行士のISS長期滞在を通じて、有人宇宙活動の実績を重ね、技術・知見の蓄積を行なっていくほか、長期滞在における活動を通じて、次世代を担う若者を触発するとともに、社会に役立つ成果を生み出していきたいとコメントしている。

また、油井宇宙飛行士は、今回の搭乗決定に当たり、以下のようなコメントをしている(以下、原文ママ)。

この度、ISS 第44/45次長期滞在のフライトエンジニアとしての搭乗が決定いたしました。非常に光栄であるとともに、その責任の重大さを痛感しております。

現在、星出彰彦飛行士のISS 長期滞在が行われており、宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機ミッションの運用や2度の船外活動など、フライトエンジニアとしてISSシステムの重要なメンテナンスを担うとともに、小型衛星放出やメダカの飼育実験など、世界中の注目を集める活動が次々と行われているところです。 さらに、来年は若田光一飛行士が日本人として初めてISSコマンダーとして活動される予定です。日本人宇宙飛行士の先輩方の活動が国際社会で高く評価される中で、私のような新人に搭乗の機会を与えていただいた事に非常に感謝しております。

宇宙飛行士として求められる資質は非常に高いものがあり、約3年半前にJAXAに入社して以来、長期滞在に必要な能力の向上の為、日々訓練に励んでまいりました。私はこの訓練を通じて人間は年齢に関係なく、努力によって自分自身の心の壁を乗り越え、成長していくことが出来る事を学びました。今回の任務も非常に高い能力が求められていますが、飛行までに必要な能力を身に付け、国民の皆様方或いは全人類の未来のために貢献したいと思います。

最後に、これまで私を直接・間接的にサポートしてくださった方々、温かい声援を送ってくださった方々に心から感謝するとともに、今後も相変わらずご支援をお願いし、私の抱負とさせていただきます。

ISSに長期滞在した(もしくは今後する予定の)JAXA宇宙飛行士の変遷 (c)JAXA

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