先日発売され、大きな話題を呼んだiPhone 5。CPUがA6チップになり、メモリが1GBに増え、LTEにも対応するなど全体的に高速化が図られているが、もう一つ筆者が個人的に興味を持っていたのが"カメラ性能"である。

3Gの頃はお世辞にも使えるとは言いがたかったiPhoneのカメラだが、代替わりするごとに大幅に強化され、4Sでは普段使い程度なら十分な性能を持つまでになった。となれば、iPhone 5になったことでカメラがどれほど向上したのか、期待が膨らむというものだ。

……と、そんなことを思いながらAppleの発表会を見ていたのだが、カメラに関してはまさかのスペック据え置きであった。画素数も800万画素のままである。たしかに画素数をやみくもに増やしても容量を食うだけだし、レンズやセンサーとのバランスを考えれば800万画素で十分ではあるのだけど、うーん、なんだかちょっと拍子抜けだなあ。

だがしかしAppleによれば、スペックは据え置きでもiPhone 5のカメラは数字に表れないところで地味に機能が向上しているらしいのだ。目玉となるのは、ずばり「暗所での撮影の強化」である。

ならば4Sと5、実際に撮影した写真を並べて見比べてみようではないか。

明るい場所で比較

まずは明るい場所での写真を比較してみよう。iPhoneにはオートモードしかないので、被写体にフォーカスしたらそのままシャッターをタップで撮影することになる。ご覧の通り、4Sと5でほとんど違いはない。F値はどちらも2.4で固定となる。なお5の方がピントが甘くなってしまったのは筆者の腕のせいである。5と4Sでシャッター速度の調整が異なるのは面白い。5の方がシャッター速度遅め、つまり少しだけ明るく調整していることがわかる。

iPhone 4S、800万画素、焦点距離(35mmフィルム換算)35mm、シャッター速度1/1493、絞りF2.4、ISO50

iPhone 5、800万画素、焦点距離(35mmフィルム換算)33mm、シャッター速度1/1355、絞りF2.4、ISO50

また、地味な違いではあるが、iPhone 4Sの焦点距離が35mmフィルム換算で35mmなのに対し、iPhone 5は33mmである。iPhone 5の方が気持ち広めに写るわけだ。

さらに比べて見てみよう。

iPhone 4S、800万画素、焦点距離(35mmフィルム換算)35mm、シャッター速度1/1314、絞りF2.4、ISO50

iPhone 5、800万画素、焦点距離(35mmフィルム換算)33mm、シャッター速度1/1043、絞りF2.4、ISO50

iPhone 4S、800万画素、焦点距離(35mmフィルム換算)35mm、シャッター速度1/1346、絞りF2.4、ISO50]

iPhone 5、800万画素、焦点距離(35mmフィルム換算)33mm、シャッター速度1/1261、絞りF2.4、ISO50

やはり両者の違いはシャッター速度のみ。ここでも5の方が若干明るめに調整していることがわかる。また、5の方が色が濃い目に出るようだ。これはセンサーがソニー製に変わったことが影響しているのかもしれない。

このように、明るい屋外の撮影では両者に大きな違いは見られなかった。