大手半導体メーカーのFreescale Semiconductorは、6月18日~21日(現地時間)に米国テキサス州サンアントニオで顧客向けの講演会兼展示会「Freescale Technology Forum(FTF) Americas」を開催した。このイベントに合わせて同社は6月18日(現地時間)、モバイル機器向けの超小型方位センサーIC「FXOS8700CQ」を発表した。

「FXOS8700CQ」の担当者である、Mobile Sensors Market担当Product Line ManagerのMichelle Kelsey氏にインタビューする機会を得たので、新製品の位置付けと概要をご紹介しよう。

Michelle Kelsey氏。Mobile Sensors Market担当Product Line Managerを務める

Freescaleはプロセッサやコントローラなどに直結できるセンサICシリーズ「Xtrinsic」を提供してきた。今回新たに提供する製品「FXOS8700CQ」は、3軸の磁気センサと3軸の加速度センサを内蔵しており、非常に高い分解能と精度で方位(自分の向いている方角)を測定できる。専用のミドルウェアと組み合わせて電子コンパスとして利用したときの方角分解能は0.1度、精度は5度未満である。パッケージは3mm×3mm×1.1mmのQFN。

「FXOS8700CQ」の概要

「FXOS8700CQ」の外観。外形寸法は3mm×3mm×1.1mmと小さい

「FXOS8700CQ」を搭載した評価ボード

「FXOS8700CQ」の内部ブロック

3軸の磁気センサと3軸の加速度センサを集積したのは、スマートフォンやメディアタブレットなどのモバイル機器を操作するときに、不可欠のセンサだからである。

これらのモバイル機器は今や標準的に、GPS受信モジュールを内蔵している。GPS受信モジュールのおかげで、モバイル機器(およびそれを所持しているユーザー)の現在位置を把握できるようになった。しかし、東西南北のどの方角を向いているのかは、GPS受信モジュールだけでは判別できない。3軸の磁気センサと3軸の加速度センサを利用することで、モバイル機器(すなわち自分)の向きや進んでいる方角が正確に掴めるようになる。

磁気センサを必要とする理由

モバイル機器の世界では、現在位置の情報を元にしたサービスが急速に普及しつつある。「FXOS8700CQ」はGPS信号と組み合わせることで現在位置と進行方向の情報を提供できるので、地図情報や交通情報などを使用した、豊富なサービスをモバイル機器のユーザーに提供できるようになる。また、ある地点でGPS信号を受信できなくなっても、「FXOS8700CQ」の出力データから、モバイル機器は現在位置を推定できる。

このほか、ゲームの入力デバイス、健康状態のモニタリング、人工現実感などの用途でも「FXOS8700CQ」は有益なセンサとなるだろうとKelsey氏はその幅広い分野への対応能力を強調していた。

「FXOS8700CQ」の主な用途