日立製作所は9月13日、1台のPCサーバ上で複数のサーバ仮想化ソフトウェアを動作させる技術を開発、レッドハットの協力のもと、クラウド向けのサーバ仮想化ソリューションとして、提供開始すると発表した。

開発したのは、日立の統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」に搭載されているサーバ論理分割機構「Virtage」の機能を拡張し、論理的に分割したサーバの区画(LPAR)の上で複数のサーバ仮想化ソフトウェアを安定的に動作させる技術。

Virtageでは、コア単位でCPUを占有し、CPUオーバーヘッドが少なく高速処理を実現できる「占有モード」と、負荷状況に応じてCPUサービス率を1%単位で動的に変更できる「共有モード」がある

これにより、マルチテナントのクラウド環境において、テナントごとに割り当てたLPAR上でサーバ仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザー)を動作させることで、各テナントにおける負荷変動や障害からの独立性を高めることができ、1台のサーバ上に複数のテナントを集約することが可能になる。

また、同社は、レッドハットと共同で、「Virtage」上において、「Red Hat Enterprise Linux」の標準のサーバ仮想化ソフトウェア「KVM」が複数動作(2つ)することを検証。「BladeSymphony」のハイエンドモデル「BS2000」の標準サーバブレードに、「Red Hat Enterprise Linux KVM」の動作認証取得版の「Virtage」を搭載し、9月14日から発売する。

さらに、同社は、「Virtage」上の「Red Hat Enterprise Linux KVM」の動作の検証や導入のコンサルティングを行うことを目的とした「RHEL KVM on LPARソリューションセンター」を同日に開設。

同センターでは、クラウドサービス事業者を対象とした検証環境の貸出しやデモンストレーション環境の整備、コンサルティングを実施するとともに、ソフトウェアベンダーへの検証支援などを行う。

なお、VMwareやHyper-Vなどの他の仮想化ソフトについても、論理的には動作させることが可能ということで、今後市場動向を見ながら検証作業を行っていくという。