NECは9月11日、シリコンフォトニクス技術を利用して20Tbpsの光信号を、さまざまな伝送路(方路)に切り替える光スイッチ装置を開発したことを発表した。

今回、同社ではシリコンフォトニクス技術を用いて開発した150個の素子を集積した超小型光スイッチチップを、小型モジュールに搭載。同モジュールを、トランスポンダ数に応じてスケーラブルに拡張可能とするスイッチ構成を実現し、12台の8入力/8出力スイッチモジュールを用いて、48ポート(双方向)のTPA(TransPonder Aggregator)を実現した。

8×48ポートTPAの構成ブロック図と試作機

また、スイッチ内の複数の光信号の切り替えにおいて、所望の信号以外の光の混入(クロストーク)を抑えるデバイス構造と駆動方式を開発。これにより、多段スイッチ通過後のクロストークを、制御しない場合と比較して1/10000以下に抑圧することに成功し、20Tbpsスーパーチャネル、100Gbps DP-QPSKなどの光信号の伝送において、方路切り替えに伴う信号劣化ゼロを実現した。

クロストークの最小化により信号劣化を抑制することに成功

さらに、各小型モジュール内に実装した光スイッチを同期して切り替える、ドライバとコントローラを開発。これにより、30μs以下の高速切り替えを実現したほか、信号品質の変動を抑圧し、多方路CDC-ROADM装置のダイナミックな運用を可能とした。

スイッチの最適駆動を実現する制御方式を開発することで、光パス設定の高速化を実現

これらの技術を用いて、将来のトラフィック増大に対応する光スーパーチャネル技術(20Tbps)を用いた大容量光信号切り替え実験を行ったところ、切り替えに伴う信号劣化の無い高品質な通信に成功したという。

同社では今後も研究開発を進ることで、2014年度までに同技術を搭載した光スイッチ装置の実用化を目指すとしている。

なお、同技術などの詳細は9月11日から14日まで、フランス・コルシカ島にて開催される光スイッチング技術に関する国際会議「PS2012」、ならびに、9月16日から20日まで、オランダ・アムステルダムにて開催される光通信技術に関する国際会議「ECOC2012」にて発表される予定である。