CA Technologiesは8月9日、同社のレプリケーションソリューションの最新版となる「CA ARCserve Replication r16 SP2」および「CA ARCserve High Availability r16 SP2」を発表した。

企業のクラウド化の進展により、業務効率の向上とともに自然災害やITシステム障害による業務の停止やデータの消失といった問題が発生する危険性も増しつつある。こうした危険性の増加に対し、ビジネスに与える影響を最小限に抑えるために、クラウド環境におけるデータ・バックアップの重要性が注目されるようになってきている。

ARCserve Replication/High Availabilityは、データやアプリケーションの「保護」「復旧」「可用性」を簡単かつ確実に実現できる災害対策・業務継続向けソリューションで、最新版となる今回のバージョンでは多数の新機能の追加などによる災害対策への対応強化が図られた。

例えばネットワーク・アドレス変換(NAT)に対応したことで、NAT環境下にあるサーバとインターネット上にあるサーバ間で相互にレプリケーション/リストアができるようになった。同機能と既存の暗号化機能やマルチストリーミング機能を併せることで、災害対策におけるデータの複製先としてクラウド仮想マシンが活用しやすくなるという。

また、ワークグループのアクセス権(ACL)の複製機能により、Active Directoryドメインに参加していないワークグループのサーバ間でもファイル/フォルダのNTFSアクセス権(ACL)の複製が可能になった。これにより、複製先でアクセス権を設定する必要がなくなるため、特にファイルサーバの災害対策・冗長化がより簡単に行えるようになるという。

さらにネットワーク使用率を制御する帯域制御機能を強化、従来のように時間帯を指定するだけでなく曜日指定もできるようになった。そのため例えば、ユーザの回線使用量が多い平日の日中は帯域制御を行ってレプリケーションによる転送量を抑え、週末は帯域制御を行わないといったような細かな設定が可能になり、ネットワークの効率的な活用ができるようになるという。加えて、従来のバージョンではブロックレベル同期を実行する際に、マスタ(複製元)サーバのディレクトリ情報を取得するため、マスタサーバ上でのデータの更新を一時的にフリーズさせていたものを、今回のバージョンのブロックレベル同期では、ファイルレベル同期と同様VSSスナップショットを使いディレクトリ情報を取得するよう仕様が変更されたことから、グループウェアのようにデータベースと細かいファイルが混在する環境でブロックレベル同期を行っても、マスタサーバへのアクセス停止を気にする必要がなくなったという。

このほか、Microsoft SQL Server 2012をサポートしたことで、SQL Server 2012のデータをレプリケーションすることができるようになったほか、従来はHyper-Vシナリオのみであったリワインド・ブックマークのスケジュール機能を拡張したことでSQL Serverシナリオにおいても、あらかじめ設定した時刻に自動でリワインド・ブックマークを作成することができるようになったという。また、GUIが改善されたことで、大量のリワインド・ポイントがある環境でも短いロード時間でリワインド・ポイントを選択できるようになるという。

なお、同バージョンは2012年8月22日より提供開始する予定で、ARCserve Replicationが9万8000円(税別)から、ARCserve High Availabilityが22万8,000円(年間メンテナンス含む)(税別)からとなっている。