Freescale Semiconductorは7月6日、タブレット/スマートフォン/マルチセルバッテリパック向けの3種類のワイヤレス充電リファレンス・デザインを発表した。

現在、各電子機器メーカーでは、スマートフォン、タブレット、ポータブル医療機器、ゲーム/オーディオ・アクセサリなど、高度な演算能力が求められる製品をサポートするため、ワイヤレス充電技術の実装方法や、自動車や喫茶店、空港、公共施設などの環境で必要となる関連インフラストラクチャの研究を進めている。

今回の3種類のリファレンスデザインは、柔軟な電磁誘導充電技術により、業界標準に準拠したターンキー・ソリューションから完全にカスタマイズ可能なソリューションまで、幅広いワイヤレス充電要件に対応する。

タブレット向けワイヤレス充電リファレンス・デザインは、民生用/産業用タブレット・アプリケーションおよびポータブル医療機器向けで、トランスミッタ・マットと、タブレットの背面カバー内部に組み込まれるレシーバという2つの主要コンポーネントで構成されている。同社のアプリケーション・プロセッサ「i.MX53」をベースとするタブレット向けSABRE(Smart Application Blueprint for Rapid Engineering)プラットフォームを活用しており、様々なタブレット設計に拡張できる。レシーバは、インタフェースを通じてタブレットの電力管理サブシステムの入力とシームレスに連動する。

スマートフォン向けワイヤレス充電リファレンス・デザインは、ワイヤレス充電技術が急速に普及し始めているスマートフォン市場のニーズに対応するもの。スマートフォン向けは、あらゆるプラットフォームに対応する拡張性を備えた業界標準規格への対応が求められるため、ワイヤレス・パワー・コンソーシアムが策定したQi標準規格をサポートした。また、配置の自由度を最大化する組み込みコイル・アレイを備えたQiベース・トランスミッタで構成し、トランスミッタの部品点数を最適化して、全体的なシステム・コストを削減できるよう設計されている。Qiレシーバは、全種類のスマートフォンをサポートし、スマートフォンの電力管理サブシステムに5V出力を供給する。

マルチセル・バッテリ・パック向けワイヤレス充電リファレンス・デザインは、大容量シングルセル/マルチセル・バッテリ・パック向けで、用途としては、電動工具や携帯無線といった産業アプリケーションを想定している。4つのリチウムイオンバッテリ・パックを同時に充電し、合計で120Wの出力を実現する。トランスミッタ・マットと、バッテリ・パックに組み込まれるレシーバという2つの主要コンポーネントで構成されており、レシーバは入力電力を管理して変換し、充電アルゴリズムを通じてバッテリに電力を転送する。各トランスミッタ・チャネルは、バッテリ・パックに組み込まれたレシーバからのコマンドに応答して、エネルギー転送を個別に調整する。同充電方式は、ソフトウェアで制御され、電力転送を動的に調整することができる。採用することで、露出した電気接点がなくなり、ソフトウェア制御を通じてインテリジェントな充電管理が実現するため、共通のプラットフォームで様々な種類のバッテリや化学物質が充電できるなどの利点がある。

3種類のワイヤレス充電リファレンス・デザインは、評価可能となっている。