富士通は6月27日、同社グループの施設・管理業務を担う富士通ファシリティーズが銅を含有する工場廃水から銅濃度の高いスラッジを生成することで効率的に銅を回収する東芝の新しい水処理システムを長野工場に導入し、運用を開始すると発表した。

同システムの導入により、銅含有スラッジから、廃水処理に使用する薬品などの不純物が少なく高濃度(90%以上)の銅を回収し有償化するとともに、廃水処理に使用する薬品の種類を4分の1に削減する。

工場廃水中に含まれる銅は粒子径が細かく、ろ過抵抗が高い性質を持つため、これまでは凝集沈殿処理という凝集剤を用いる水処理方法が行われており、薬品由来のスラッジが発生していた。新システムでは、廃水をろ過する際に磁性体の機能粉を用いることで、中和剤以外の薬品を使用せずに、効率的に銅を回収する。

富士通が導入した東芝製廃水処理システム

これまでは処理薬品などの不純物が含有された多量のスラッジ(1ヵ月当たり35トン)が生成されていたが、同システムの導入により、少量で高濃度な銅含有スラッジ(1ヵ月当たり5トン)を生成でき、従来に比べて売却額の高い有価物として回収できる。

ろ過した後の機能粉は磁気により容易に分離してシステム内で循環・再利用が可能なため、有価物回収も含めて運用コストを従来比で約40%削減できるだけでなく、処理時間や設置スペースも約50%低減することが可能となった。

同社は今後、付加価値の高い酸化銅に加工する取り組みを2012年10月より行う予定。