日本ヒューレット・パッカードはこのほど、法人向けPCのラインナップを一新。省スペース性やモバイル製、省電力、セキュリティといった、日本でニーズの高い要素を重点的に実装している。こうした製品や各種サービスは、ワールドワイドでも評価が高まっているという。去る6月21日には製品発表会も開催。実機の展示やデモ、製品解説に加えて、同社のモノ作りの姿勢や新モデルが誕生した経緯なども語られた。

冒頭では、同社の取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏が登壇。ビジネス向けPCのキーワードとして、省スペース、省電力、モバイル、セキュリティの4点を挙げ、こうした日本のユーザーの声をもとに米国のヒューレット・パッカード本社と粘り強く交渉し、製品化にこぎつけたという。

日本ヒューレット・パッカード 取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括 岡隆史氏(写真左)。日本の要望に応えたPCが、グローバルモデルとして採用される例も(写真右)

「世の中にない製品を開発するのがHPらしさであり、新しいカテゴリの製品を作るくらいの意気込みでやっている。日本のニーズ(編注:省スペース、省電力、モバイルなど)は世界のニーズであり、特にアジアでは重なるところが多い。欧州でも『大きいものはエコじゃない』という見方が広がっていて、省スペース化が進んでいる。また、省電力も日本では当然の意識だが、世界的にもエネルギー問題や電力マネジメントがクローズアップされてきている。

日本は製品の品質やサービスへの要求レベルが高く、それに応えられる製品は『他の国でも』ということになって、世界中で販売されるようになった。もともとは日本のユーザーの声だったものが、グローバル化のノウハウになることを、いろいろな製品がカタチになっていく中で感じている。日本からグローバルに情報を発信し、業界を盛り上げていく」(岡氏)。

アイ・ティ・アール(ITR) リサーチ統括ディレクター/シニア・アナリスト 生熊清司氏

続いてゲストスピーカーとして、アイ・ティ・アール(ITR)のリサーチ統括ディレクター/シニア・アナリストの生熊清司氏が、現在の法人向けPCの市場やニーズについて解説した。2014年4月に控えるWindows XPの延長サポート終了に向けて、法人向けPCの導入が大量に発生するだろうとした。

「企業のIT戦略ではコスト削減や生産効率が求められてきたが、近年は売上アップにも直接貢献するという要求が増えてきた。さらにグローバルビジネスへの対応やリスクマネージメント、リスクヘッジ、災害対策なども重視されるようになっている。

国内企業ではクライアントPCが後回しになる傾向があった。多くの場合、サーバーの導入やリプレースは少ない台数で済むが、クライアントPCは1台ずつの導入で台数も多い。コストがかかり、具体的な効果も見えにくい、そして現状では大きな問題になっていないといった点が主な理由」(生熊氏)。

クライアントの環境整備が遅れている理由

クライアントのライフサイクル管理とコスト

新しいクライアントPC(新しいOS環境)の導入は待ったなし

「現在はだいたい8割の企業がWindows XPのクライアントPCを使っているが、Windows XPは2014年4月で延長サポートが切れる。セキュリティパッチが提供されなくなり、そのようなクライアントPCを企業で使い続けることは許されない。2011年からWindows 7への移行が増えており、これからの2年間(編注:Windows XPの延長サポート終了まで)で、クライアントPCへの大きな投資が行われるだろう。

ただ、企業におけるクライアントPCの場合、単純に本体が安いというだけでは導入できない。計画、調達、導入、運用、そして廃棄と、ライフサイクル全体でサポートしてくれるベンダーが必要となる。加えて、モバイル使用や在宅勤務といった、ビジネス環境の変化も考慮しなければならない。日本企業は要求レベルが高いが、それに応えられる製品やサービスを、日本ヒューレット・パッカードには提供していただきたい」(生熊氏)。

日本ヒューレット・パッカード パーソナルシステムズ事業統括 製品統括本部 統括本部長 島田昌彦氏(写真左)。今回の新モデルの1つ、11.6型で約1.3kgのノートPC「HP EliteBook 2170p Notebook PC」(写真右)

また、日本ヒューレット・パッカード パーソナルシステムズ事業統括 製品統括本部 統括本部長の島田昌彦氏からは、今回の新モデルについての簡単な紹介とデモがあった。新モデルの概要は下記の別記事を参照していただきたいが、4つの大きなポイントは、省スペース性、省電力性、セキュリティ、Made In Tokyo(東京生産)だ。

・日本HP、11.6型搭載製品など法人向けノートPCのプロフェッショナルモデル
・日本HP、コストパフォーマンス重視の企業向けスタンダードノートPC4モデル
・日本HP、第3世代Intel Coreプロセッサ搭載のビジネス向け15.6型ノートPC
・日本HP、Xeon E3-1200 v2搭載の「HP Z220 Workstation」シリーズ2モデル
・日本HP、法人向けデスクトップ新製品 - 消費電力10W以下が可能なモデルなど


旧モデルと新モデルの消費電力、およびオフィスアプリケーションのマクロ処理時間の比較。旧モデルと比べて、新モデルは約58%の処理時間短縮、約78%の消費電力削減を達成している

落下テスト

耐水テスト