NASAが「Image of the Day」で取り上げた写真の中から、国際宇宙ステーションのクルーが長時間露光で撮影した宇宙の様子や、超新星の輝く光を捉えたチャンドラ天文台の撮影画像などをお送りする。

活発なブラックホール、星の形成を抑制

Active Black Hole Squashes Star Formation

すべての大銀河の中心には超大量質量ブラックホールが存在すると信じられているが、ハーシェル宇宙望遠鏡で取得した新しいデータによると、非常に活発な超大量質量ブラックホールを中心に持つ銀河が形成する星の数は、活発でない超大量質量ブラックホールを持つ銀河が形成する星の数よりも少ないことが分かった。

銀河にガスが流れ込むと星が形成されるが、同時に物質が加速して熱せられ、大量のエネルギー(「ジェット」と呼ばれる2本の流れ)が放出される。ハーシェルのデータによると、星の形成と超大量質量ブラックホールの活動は、ある地点までは同時に活性化していく。超大量質量ブラックホールの活動がそれ以上に活発化すると放射線が噴出し、物質が合体して星になるのを阻む働きをするのではないかと天文学者たちは考察している。

この画像に写っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した「アープ220」という銀河。この図は、ハーシェル宇宙望遠鏡から得られた今回の結果を説明するのに役立つものとなる。銀河の中心が明るいのは、中心の超大量質量ブラックホールの活動が激しくなっていることを表す。星の形成とブラックホールの活動の関係が互いにどう影響するのか、さらなる研究が待たれる。

幻想的な宇宙の光景

Psychedelic Space

地球から240マイル上空の位置にある国際宇宙ステーションから、10分から15分ほどの長時間露光によって撮影した画像だ。

通常のデジタルカメラの最大露光時間は30秒程度であるため、30秒の長時間露光での撮影を何度か繰り返し、画像処理ソフトウェアを使って画像をつなぎ合わせてある。この画像では、合計18枚の画像をつなぎあわせている。

光り輝く白鳥座

The Swan Glowing in Fligh(Image Credit:ESA/PACS/SPIRE/Martin Hennemann & Frederique Motte, Laboratoire AIM Paris-Saclay, CEA/Irfu -- CNRS/INSU -- Univ. Paris Diderot, France)

白鳥座は北半球で夏に見られる星座。その白鳥座Xの星形成領域で、塵とガスが複雑に入り組み、大質量の星が形成されている様子を、ハーシェル宇宙望遠鏡が撮影した。

この画像は、遠赤外線の画像を複数組み合わせて出来たものとなっている。

超新星の通過

A Supernova Cocoon Breakthrough(Image Credit:X-ray: NASA/CXC/Royal Military College of Canada/P.Chandra et al); Optical: NASA/STScI)

爆発した星の周囲を囲い込むガスを通り抜けている超新星の衝撃波が、チャンドラX線天文台によって初めて捉えられた。この画像は、非常に強力な超新星が発生する謎を解き明かす助けになる可能性がある。

ハワイの全天自動調査望遠鏡で取得したデータによって、この超新星が爆発したのは2010年10月初旬と結論づけた。画像の紫色の部分はチャンドラによるX線データで、赤、緑、青はハッブルの可視光データだ。この超新星は、X線で検知された超新星の中でも最も明るい物のひとつである。

おまけ:国際宇宙ステーションへの物資輸送を担う「ドラゴン」打ち上げ

Moscow at Night

スペースX社のファルコン9ロケットが、2012年5月22日にフロリダのケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた。これは、国際宇宙ステーションへの物資輸送を民間企業に委託する試みの内のひとつだ。

この打ち上げはスペースX社の2度目の実演で、前述の通り、NASAの商業軌道輸送サービスプログラムの一環である。

このロケットには「ドラゴン」と呼ばれるカプセルが搭載されており、フライト中には、「ドラゴン」のシステムを試験・証明するために、国際ステーションにおいて集結および停泊がチェックされる。「ドラゴン」が予定通り機能した場合、カプセルに搭載された荷物などは国際宇宙ステーションに移動されることとなる。