私、ここ描きました!

――それでは、『Fate/Zero』1stシーズン(第1~13話)の中で、「ここ頑張りました!」というカットがありましたら教えて下さい
山崎:思い入れは各カットそれぞれにあるのですが、あえて言うなら『Fate/Zero』で初めて原画を描いた第9話ですね。アインツベルン城で切嗣とアイリが会話をしている一連のシーンなのですが、ドアを開けて室内に入ってくる動きが難しくて、実際にドアを自分で開けたり閉めたりしてみてイメージを膨らませて、すごく悩んでやっとの思いで描いたカットなので印象深いです。

藤崎:私は、第4話のランサー戦でランサーが2槍のうち1本の槍をカランカランと落とすシーンで、その綬布が”しゅるっ”とほどけるカットです。動画さんがきれいに割ってくれたというのもあるのですが、無機物の動きを自然に描くのはキャラクター以上に難しい部分もあるので、うまく描けて演出の栖原さんも褒めてくださったのがうれしかったですね。

『Fate/Zero』2ndシーズン、いよいよフィナーレへ!

――では、いよいよ2ndシーズン放送もフィナーレへ向け動き出しましたが、現在放送された中で「ここ頑張りました!」という所はありますか?
山崎:私は、16・19話で原画を担当しました。16話ではランサーとケイネスが対峙(たいじ)するカットを担当しまして、ストーリー的にはちょっとつらいシーンなんですが、その中でランサーの忠誠とケイネスの狂気という二人の個性がきちんと画面に出る様に頑張りました。あと16話では他のキャラクターも結構描けたのでうれしかったですね。

藤崎:私は15・18・20話で原画を担当しました。15話ではもともと小説でも好きだった綺礼と雁夜おじさんが接触するカットを制作さんに振っていただいて熱が入りましたね。そして自分にとってすごく大きかったのが20話で始めて各話の作画監督を担当した事です。キャラクターデザインの碇谷敦さんと二人体制でやらせていただいたのですが、他の人が描いたものに修正を入れるというのが初めての事だったので、碇谷さんにいろいろ相談しながら悩みつつ頑張りました。

ユーフォーテーブルだから出来ること、やりたいこと

――入社されて約3年たちましたが、お二人が感じるufotableの魅力はどんな所でしょうか?
山崎:アットホームな部分は魅力の一つだと思います。スタジオの1階にカフェがあるのでみんなで食べに行く事も多いですし、そこでいろいろ話したりするのも楽しいです。あと、社長の近藤さんが色んなフロアにふらっと見に来ていろいろ話したりするのも含めて、全体的にみんなとコミュニケーションが取りやすい会社なのかなと感じます。部署間の壁みたいなものがそんなになくて、雑談も大事な話もしやすいですよ。

藤崎:あとは、みんながみんな全力で作品をやりきる感じの社風が好きですね。『Fate/Zero』の放送を通して「ufotableはハイクオリティでキレイな映像を作る」という評価をしていただく事もありますが、ぶっちゃけ、それだけみんな命削っているんですよね(笑)。そして、その姿勢とそれに対する技術が、上の人達ほどすごいんです。上の人達の頑張りを見ると「私ももっと頑張らねば!」と思います。

――そんなufotableの中で、お二人が近い未来(3年以内)に「こんな風になりたい」「こんな仕事がしてみたい」というものはありますか?
藤崎:私たち、同期の9人が全員女性なんです。私たち以外にも、会社全体に女性スタッフが増えているので、メインスタッフが女性ばっかりのアニメを作ってみたいです。

山崎:私はとにかく技術を向上させて、今よりうまく、かつ描くスピードが速くなっている事を目指したいです。先輩だと、キャラクターデザインをされている碇谷敦さんの作画スピードが速くて憧れます。碇谷さんは私から見ると「気が付いたら描き終わっている」くらい速いんです。

藤崎:でも碇谷さんって、ちゃんと1枚の絵を描くのに20枚ぐらいラフを切ってるんですよね。なのに「見たらもう描き終わってる!?」みたいな感じです。
山崎:ホントそんな感じです。そしてあんなに速いのにクオリティーも高いんですよね。すごいです。

藤崎:すごいと言えば、同じくキャラクターデザインをされている須藤友徳さんは超すごいです。なんというか、須藤さんは私達から見ると「なんでも高いレベルで出来る人」なんです。レイアウトもうまいし、版権イラストもとっても繊細な絵を描くし、本編も須藤さんの手が加わると画の厚みや迫力が全然違うものになるんです。どうしたらあんな風になれるのか……。

山崎:そうだね……。時間は掛かるかもしれませんが、私達もお二人みたいになれる様に頑張ります。

藤崎:うん、今は頑張るしかないね。最終話へ向け私達も頑張りますので、是非最後までよろしくお願い致します。

山崎:よろしくお願い致します。

――さらなるご活躍を期待しております! 本日はありがとうございました!