Freescale Semiconductorは5月21日、車載パワートレイン・システム向けマルチコアMCU「Qorivva(コリーヴァ) MPC5746M」を発表した。

同製品は、200MHzのクアッドコア「Power Architecture」プラットフォームをベースとした32ビットMCUで、安全性チェック機能とパラレルI/Oプロセッサの実装により、マルチコア・プラットフォーム上でソフトウェアの最適化および安全への対応を実現する。内燃エンジン、ハイブリッド・システム、およびトランスミッション・システム向けの車載コネクティビティの増大に伴う不正アクセスからソフトウェアを保護するとともに、電子システムの障害を検知、またその発生を回避する。

また、演算能力とメモリ機能を強化し、4MBの組み込みフラッシュメモリを搭載した。処理速度は同社のMCU「MPC5674F」の2倍以上の性能を持ち、自動車のエンジンルーム内という過酷な環境でも同等の消費電流にて駆動する。製造には、55nm不揮発性メモリ(NVM)技術が導入されている。

「Qorivva MPC5746M」は、ISO 26262標準への対応するために開発されたSafeAssure(セーフ・アシュア)機能安全ソリューションであり、アーキテクチャと設計プロセスを利用すれば、ISO 26262に準拠した安全な車載アプリケーションを容易かつ短期間で開発できる。また、自動車の最も高い安全水準であるASIL-Dに準拠するセーフティ・アプリケーションに対応する。これにより、実績のあるマルチコア・セーフティ・プラットフォームとメモリ・セーフティ・コンセプトを活用した、遅延型ロックステップ・コアおよびデータやコードの細部にわたる誤り訂正などの機能の搭載により重大な障害の発生を防ぐ。また、メモリおよびロジックの内蔵セルフ・テストにより、機能ロジック内およびセーフティ・インテグリティ・メカニズム内の潜在的な障害の蓄積を回避する。さらに、クロックおよび電力の生成、分配を専用のモニタで監視することにより安全面での性能を強化している。

セキュリティでは、専用のコアによるプログラムが可能なハードウェア・セキュリティ・モジュール、専用のSRAMと暗号化モジュール、フラッシュセンサシップ・サポートなどのフラッシュメモリのセキュリティ機能、先進のデバッグ・アクセス制限機能、およびセキュア・ブート・モードなどを備えている。これにより、セキュリティのための外部コンポーネントが不要となり、システム・コストを削減することができる。

開発では、AUTOSARリアルタイム・オペレーティング・システムおよびマルチコアの車載用MCUに対応したAUTOSAR MCAL 4.0ドライバを利用できる。同社およびサードパーティのツールによるエコシステムを利用すれば、アプリケーション開発の複雑さを軽減し、プロトタイピングおよびソフトウェア統合におけるデバッグ/検証の期間を短縮することができる。

なお、年内には、開発中の8MBのフラッシュメモリを搭載する300MHzのクアッドコア品も投入される予定。