パナソニック デバイス社は5月15日、次世代不揮発性メモリReRAM内蔵マイコンを開発したと発表した。

同製品は、リーク電流の低減、アナログ回路の最適化といった低消費電力技術および書き換え技術、動作制御技術などの開発により実現した。

製造には、リーク電流を従来比1/10以下まで削減した0.18μmのCMOSプロセスを採用。量産実績のある強誘電体メモリの混載プロセス技術をベースにすることで、短期間での生産体制構築とサンプル試作を可能にしている。

メモリセルアレイへの低電圧駆動技術、低ノイズ電源回路技術、低電圧高感度増幅回路技術を組み合わせた1T1R型ReRAM設計技術により、0.9Vでの安定したデータ読み出し動作を実現し、ReRAMを低消費電力化した。また、内部電源回路や発振などマイコン部のアナログ回路の電流能力を最適化することにより、1.8Vでの動作電流を約50%に削減し、低消費電力を実現している。

マイコンの消費電力の削減には、動作電圧を下げることが効果的とされる。同製品では、0.9Vで最大64kHzの動作を可能にし、32kHz動作時に動作電流4μA以下、消費電力4μW以下とした。さらに、1.8V/32kHz低速動作時には動作電流を2μA以下に抑えることで消費電力4μW以下を達成、1.8V/32kHzクロックカウント時には0.1μA以下の動作電流を実現した。

書き換え性能は、フラッシュ搭載のマイコンに比べて時間を1/5に短縮した。さらに、データ領域の書き換え回数を10万回まで高めたことにより、外付けEEPROM機能のマイコンへの取り込みを容易にした。多くの場合、不揮発性メモリ内蔵マイコンを使用した機器では、機器製造ラインでのデータ書き込みを行っている。高速書き換えの実現により、書き込み時間を短縮することができたという。

この他、抵抗変化素子への電圧印加により、高抵抗層と電極界面の酸素濃度をnsオーダーで制御することで、メモリセル書き換え10nsを実現した。さらに、自社フラッシュメモリの動作制御技術をベースに、ReRAMに最適な動作制御技術を確立した。

なお、同製品のサンプルを用いた評価用スタータキットの提供を2012年5月より開始する。評価用スタータキットは、PCのUSB端子へ直接接続し、専用の開発環境を使用してプログラム作成、コンパイル、書込みを行うことが可能。機器開発時のプログラムを実際に動作させることができる。サンプルは、低消費電力タイプと汎用タイプの2種類ある。パッケージはともに14mm角の100ピンLQFP。